住宅を購入する際、多くの方はローンを利用されますが、その中でも有名なのは「フラット35」です。
フラット35は借入期間中金利の変動がない住宅ローンであり、多くの金融機関で取り扱いもあるため、選択肢として選ぶ方も多い長期固定金利住宅ローンです。
この「フラット35」には実はいくつか種類があるのをご存知でしょうか。今回はフラット35について解説をさせていただきます。ぜひご自分に合った住宅ローンを選ぶ参考にしていただければと思います。

フラット35とは

フラット35は、独立行政法人住宅金融支援機構と全国300以上(2020年7月現在)の民間金融機関が提携して取扱う住宅ローンです。新築住宅の購入資金や建築資金だけでなく、中古住宅の購入資金や住宅ローンの借り換えにも活用できます。

フラット35の「フラット」は、借入時の金利が借入期間を通して変動しない」、つまり「金利が平ら」ということから来ています。また英語でマンションのことを「フラット」と呼ぶことがあることも意味として含まれています。また、フラット35の「35」は返済期間が最長35年であるという意味です。正確には借入期間としては15年以上35年以下となっています。

民間金融機関が提供する住宅ローンの金利は、短期的な市場の金利変動に合わせて設定されるのが通例となっていますが、フラット35の金利は「10年国債」という長期金利にあわせて設定されています。
借入する時期によって若干の違いがありますが、フラット35の金利と10年国債の金利はほぼ同じく設定されています。

また、借入額によって金利が異なるのも押さえておくべきポイントです。
具体的には、融資率が9割を超えてくると金利が高くなります(※「買取型」の場合)。
例えば、5,000万円の家を購入するとして、融資額が4,500万円以上なのか以下なのかによって金利が異なってくることになります。

ただし、提供する金融機関により金利や手数料に若干の差があることから、コストを抑えるためには複数の金融機関に相談をし、比較検討することをお勧めします。

フラット35のメリット・デメリット

メリット

  • 金利が固定のため金利上昇のリスクがない
    • フラット35は、借入時点の金利が固定されて返済金額が確定します。そのため、変動金利型のように返済期間中に金利が変動して返済金額が変わるものに比べ、返済計画が立てやすくなります。
  • 繰り上げ返済の際の手数料が無料
    • 民間の金融機関提供の住宅ローンの場合は、繰り上げ返済時に手数料を取られることがありますが、フラット35では手数料はかかりません。
  •  所得に関する制限が明確なため、民間の金融機関より住宅ローンの借入がしやすい
    • フラット35には最低所得金額に関する制限がありません。所得に対して返済負担割合等の条件を満たせていれば、所得金額に関係なく申し込みを行なうことが可能です。また、給与所得者だけではなく、個人事業主や年金生活者であっても借入の対象となります。
  • 保証料・保証人が不要
    • 民間金融機関の住宅ローンでは保証料が求められる場合があります。ただし、保証人は民間金融期間でも原則不要です。
  • 団体信用生命保険(団信)の選択肢がある
    • フラット35で付帯できる団体信用生命保険(団信)には、死亡・身体障害等に備えた「新機構団体信用生命保険」、三大疾病にも対応した「新3大疾病付機構団体信用生命保険」、連帯債務者となる配偶者も保証に対象とすることができる「夫婦連生団体信用生命保険(デュエット)」のラインナップがあります。

          また、民間金融機関では団体信用生命保険への加入が必須ですが、フラット35は任意です。一般的に加入する方が多いですが、逆にいえば健康状態などを理由として団体信用生命保険に入れない方でも利用をすることが可能となります。しかし、団体信用生命保険に未加入の場合、債務者に万が一のことがあって死亡した場合には、住宅ローンの債務を遺族が引き継ぐ場合があり、注意が必要です。

          デメリット

          • 変動金利より金利が高い
            • フラット35と変動金利型の借入時点の金利を比べると、同じ条件であれば一般的にはフラット35の金利の方が高くなります。
          • 市場金利が下がっても返済額は変わらない
            • メリットの裏返しでもあるのですが、「借入時点の金利で固定される」ということは、借入後の市場の金利相場が大きく下がったとしても途中で金利が下がりません。安くなった金利のフラット35に借換えも可能ですが、その場合には手数料がかかるため、返済総額でみると安くなるのかどうかは全体を計算して確認する必要があります。
          • 「適合証明書」を取得する必要がある
            • フラット35を利用するためには、購入する住宅が独自の技術水準を満たしていることが条件になります。この条件を満たしていることの証明書が「適合証明書」であり、住宅金融支援機構への提出が必要です。また、証明書取得には検査費用がかかります。なお検査の結果、適合証明書が取得できない場合もあり、その場合検査料は返還されないので、ご注意ください。
          • 諸費用は借りられない
            • 登記費用や火災保険料などは借入対象になりますが、引っ越し費用などは借り入れに組み込むことができません。

                フラット35の商品の違い

                フラット35には、大きく「(機構)買取型」と「保証型」の2種類があります。一般的には「(機構)買取型」を指すことがほとんどです。「保証型」の場合は買取型と区別するために「フラット35(保証型)」と記述されます。
                まず「買取型」と「保証型」のご説明をいたします。

                フラット35(買取型)とは

                短期での資金調達を行っている民間金融機関にとって、回収に時間がかかる全期間固定型の住宅ローンは取り扱いが難しいとされています。

                そのため、民間の金融機関が利用者に資金を貸し出し、住宅金融支援機構がその貸出債権を買取る仕組みとしているのが「フラット35(買取型)」となります。これによって民間金融機関による全期間固定型の住宅ローンが可能になっています。

                買取型には借入期間によって商品ラインナップがいくつか存在しています。

                住宅金融支援機構の住宅ローン 商品ラインナップ

                商品 特徴
                フラット35 最長35年の住宅ローン。
                フラット35S 省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性、可変性の観点から一定の基準を満たした住宅の場合に、借入金利が引き下げられる住宅ローン。満たす基準によって「金利Aプラン」「金利Bプラン」の2種類がある。基準証明に検査機関による適合証明書が必要。
                フラット20 フラット35のうち、借入期間が15年以上20年以下の場合を指す。フラット35よりも金利が低くなる。
                フラット20S フラット20の条件に省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性、可変性の観点から一定の基準を満たした住宅であること。満たす基準によって「金利Aプラン」「金利Bプラン」の2種類がある。基準証明に検査機関による適合証明書が必要。
                フラット50/フラット50S 一定の基準を満たした長期優良住宅を取得する際に利用ができる最長50年の全期間固定金利住宅ローン。借入期間が長いためフラット35よりも金利は高くなる。

                これ以外にも目的別の商品もあります。

                住宅金融支援機構の住宅ローン 商品ラインナップ

                商品 特徴
                フラット35リノベ 中古住宅を購入して一定の要件を満たしたリフォームを行う場合、もしくは住宅事業者により一定の要件を満たしたリフォーム済みの中古住宅を購入する場合。
                フラット35 子育て支援型・地域活性化型 地方公共団体とフラット35の住宅金融支援機構が連携して生まれた金利引き下げプラン。「子育て支援型」と「地域活性化型」の2種類がある。
                フラット35 地域活性型(地方移住支援) 移住先の地方公共団体による移住支援金の交付とセットで借入金利を一定期間引き下げる制度。

                上記のように「フラット35」でも、借入期間や住宅の質、一定の要件を満たすことで、更に金利を下げる制度があります。

                フラット35(保証型)とは

                金融機関が提供する住宅ローンに住宅金融支援機構が保険をかけ、利用者がローンを返済できなくなった場合に、住宅金融支援機構が金融機関に保険金を支払うという仕組みで提供されるのが、フラット35(保証型)です。

                買取型・保証型ともに申し込みや審査、契約などの手続きは各金融機関で行いますが、買取型は全国321の金融機関で取り扱われているのに対し、保証型の新規受付を取り扱っているのは住信SBIネット銀行や広島銀行、クレディセゾン、ARUHIなど8金融機関のみです(2021年4月1日現在)。

                また「買取型」の場合には、融資率9割以上・以下で借入金利が異なりますが、「保証型」の場合には、取り扱う金融機関によって融資率8割、7割でも金利が変わることがあります。
                加えて「保証型」の場合には、「新機構団体信用生命保険」に加入することができず、金融機関の提供する団体信用生命保険を必要に応じて利用することとなります。団体信用生命保険は種類によって保険料の負担の有無などが異なりますので、確認が必要です。

                まとめ

                このように「フラット35」は「金利が一定でおトク」といった感じもありますが、メリット・デメリットがあります。また、商品の違い、オプションの追加などでも条件が変わってきます。

                住宅購入は人生の中でも大きな買い物となります。住宅ローンを組む場合、長期間の支払いが発生しますが、期間が長くなると金利の違いは総額として大きな違いになってきます。

                住宅の購入時には、物件のみならず住宅ローンの種類の違いにも注目をしていただければと思います。

                一誠商事では住宅購入の過程で、住宅ローンのご説明をさせていただいております。
                ご不明な点がございましたら、一誠商事までお気軽にご相談ください。

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                記事の監修者:一誠商事編集部

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