アパート経営を個人事業主として始める際の基礎知識|メリットや法人化の考え方も解説

アパート経営を個人事業主として始める際の基礎知識|メリットや法人化の考え方も解説

アパート経営を個人事業主として開業すると、税制面で有利になる制度を利用できる など、さまざまなメリットを受けられます。

アパート経営を始めたい場合は、開業の利点や注意点、法人化との違いについて知り、開業のメリットを最大限活かしましょう。

今回は、個人事業主としてアパートを経営するメリットや注意点から、法人化の特徴まで幅広く解説します。

アパート経営で個人事業主としての開業が必要なケース

「開業」と聞くと、特別な人が行うものという印象を持たれる方もいるかもしれませんが、管轄の税務署に開業届を提出すれば、誰でも個人事業主として開業が可能です。

アパート経営の場合、一般的に「賃貸する部屋数が10室以上」であれば、事業的規模の経営とみなされ、個人事業主として開業届の提出が必要になります。

事業的規模でない場合は開業届を提出する必要はありませんが、開業すると税制上のさまざまなメリットを受けられます。

詳しくは後ほど解説しますが、開業のメリットを活かせる場合は、経営規模が小さくとも開業するのがおすすめだといえるでしょう。

個人事業主としてアパート経営をする4つのメリット

個人事業主としてアパート経営をする4つのメリット
アパート経営を始めるにあたり、個人事業主として開業するメリットを4つ紹介します。

確定申告時に青色申告を選択できる

個人事業主として開業すると、確定申告時に「青色申告」を選択できます。青色申告を選択すると、一定水準の帳簿の提出が求められるものの、所得税や住民税の軽減効果を期待できるなどの特典があります。

青色申告の特典の一つが、青色申告特別控除です。青色申告特別控除により、総所得から最大65万円までの控除を受けられ、総所得を減らすことができるため、結果的に節税につながります。

また青色申告には、青色事業専従者給与を経費として計上できる特典もあります。この特典によって、申告者と生計を同一にする15歳以上の家族に支払った給与を、経費として計上することが可能です。

青色申告をするには、以下いずれかの期限までに税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。

  • すでに白色申告をしている人が青色申告に変更する場合:青色申告適用年の3月15日まで
  • 1月1日~1月15日に事業を開始する場合:青色申告適用年の3月15日まで
  • 1月16日~事業を開始する場合:事業開始から2ヵ月以内

また、青色事業専従者給与を経費として計上するには、税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。

さまざまな経費を計上できる

個人事業主になれば、青色事業専従者給与を含め、必要経費として認められるものが増えます。税負担を減らすためには、経費として計上できるものを把握し、経費を漏れなく計上することが大切です。

開業すれば、以下のような支出を経費として計上できます。

支出の内容 概要
各種税金 固定資産税、都市計画税、不動産取得税、印紙税など、アパート経営に関する税金
減価償却費 固定資産の取得にかかった費用を耐用年数に応じて分割し、計上する費用
保険料 火災保険や施設賠償責任保険、地震保険などの保険料
管理費 不動産の管理を管理会社などに委託する場合の費用
修繕費 不動産の修繕費
広告宣伝費 入居者の募集等に使用した広告宣伝費
税理士などへの報酬 税理士や弁護士などに支払った報酬

アパート経営で経費計上できるものとできないものについては、下記記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。

アパート経営の経費で落とせるもの・落とせないものを詳しく解説!判断基準も参考に

損益通算できる

事業で生じた利益と損失を相殺することを「損益通算」と呼びます。不動産所得・譲渡所得・事業所得・山林所得が損益通算の対象です。

例えば、副業でアパート経営を始めて赤字が出た場合、給与所得の黒字と損益通算することで全体の所得額を減らせるため、節税効果が得られます。

また、損益通算しても赤字が解消できなかった場合、翌年から最大3年間にわたり、損失を繰り越して控除できます。この制度を「繰越控除」と呼び、事業当初の経営が不安定な時期に発生した赤字を節税に活用できるのも、個人事業主のメリットだといえます。

法人化と比べて手間や費用がかからない

法人化してアパート経営を始める場合、会社の設立に登録免許税や定款認証手数料などの費用が必要になり、事務手続きの手間も発生します。法人化したあとに会社を維持する際も、個人事業主にはない費用や手間がかかります。

それに対し、個人事業主として開業する際は開業届を提出するだけで済み、手続きにあたっては費用が発生しません。費用や手間をかけずに事業を始められるのも、個人事業主のメリットだといえるでしょう。

注意!個人事業主としてのアパート経営には個人事業税が課せられる

注意!個人事業主としてのアパート経営には個人事業税が課せられる
個人事業主としてアパート経営をすると、税制面で多くのメリットを得られますが注意すべき点もあります。

それが「個人事業税」です。
個人事業主が事業的規模でアパート経営する場合、所得税とは別に「個人事業税」が課せられます。賃貸できる部屋数が10室以上の規模の場合、税率5%が課されるのが基本です。

なお、個人事業税は以下の計算式で算出できます。
個人事業税=(所得金額-事業主控除額)×税率5%

個人事業税には最大290万円の事業主控除があるため、所得金額が年間で290万円を超えない場合は、個人事業税が課されません。

個人事業主として開業したあとは、個人事業税の有無もふまえて経営を進めていきましょう。

アパート経営の所得が大きい場合は法人化も検討しよう

前述したように、法人化すると個人事業主にはない手間や費用が発生します。そのため、個人事業主として開業するほうが、メリットが多いと解説してきましたが、所得額によっては法人化したほうが良いといえます。

個人事業主では、所得税は所得が大きいほど税率が上がる累進課税制度が適用され、所得税と住民税合わせて税率が最大55%になります。

一方で法人の場合は、所得税の代わりに法人税を支払います。法人税は比例税率制度が適用されており、税率がほぼ一定であるのが特徴です。法人が支払うべき税の税率は、法人税を含めて30~35%程度となっています。

このように、所得金額によっては個人事業主として所得税を納めるより、法人化して法人税等を支払ったほうが税負担を減らせます。

目安として、年間の所得金額が1,000万円程度を超えている場合は、法人化したほうが節税効果を期待できるとされています。法人化のメリットを活かせるなら、法人化も検討してみましょう。

まとめ

アパート経営が事業的規模と認められる場合、開業の届け出が必要です。個人事業主として開業すると、税制上有利になる制度を多く利用できるため、積極的に活用していきましょう。

事業の所得額が大きい場合は、個人事業主として経営するよりも法人化したほうが節税できる可能性があります。事業規模などをふまえて、よりメリットの多い経営形態を選択することがおすすめです。

また不動産経営では、管理や修繕など、経営に関するさまざまな手間が発生します。手間を減らして経営をよりスムーズにするためには、不動産会社などと協力して、適宜管理運営を委託するのがおすすめです。

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記事の監修者:一誠商事編集部

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