アパート経営の経費で落とせるもの・落とせないものを詳しく解説!判断基準も参考に
アパート経営には、修繕費や管理費など、さまざまな経費がかかります。
経費を正しく計上するには、「経費で落とせるもの」と「落とせないもの」の区別が必要です。経費で落とせるものと落とせないものの違いを理解し、正しい申告に努めましょう。
この記事では、アパート経営における経費の判断基準を解説するとともに、経費として落とせるもの・落とせないもの、経費で落とせるかどうか判断できない費用の対処法を解説します。
目次
「アパート経営の経費」は何を基準に判断する?
アパート経営における経費とは「アパート経営に直接かかわる費用」です。経費として計上するには、アパート経営の収益とどう関係するか、業務においてどのように使用されたかを明確にしなければなりません。業務との関係性を明確に示せないものは、経費として計上できないため注意しましょう。
アパート経営で利益が出たら「不動産所得」として確定申告が必要です。アパート経営における経費を正しく計上できなければ、確定申告を正しく行えません。
そして、経費の計上方法を誤った場合には、申告内容の修正(修正申告)が必要です。最悪の場合には申告内容が悪質と判断され、ペナルティが発生するおそれもあります。
経費を正しく計上すると、経費の分の事業所得が減り、節税にもつながります。そのためにも、アパート経営における経費を見極めて、経費として認められるものはしっかりと計上しましょう。
アパート経営の経費として落とせるもの
アパート経営で経費として計上できるものには、次の9点が挙げられます。
公租公課
公租公課とは、国や地方自治体に納める税金のことです。具体的には、固定資産税や不動産取得税、登録免許税、印紙税、事業税、都市計画税などがあります。
ただし、税金のなかには、アパート経営には関係ないものも含まれていることがあります。経費として計上できるのは、あくまでアパート経営に直接関係ある部分のみという点に注意してください。
減価償却費
減価償却とは、建物や備品など、時間の経過や使用により価値が変わる固定資産に行う会計処理のことです。アパート経営の場合、法定耐用年数でアパートの取得にかかった金額を分割し、その一部を経費として毎年計上できます。
法定耐用年数の計算には償却率が必要になり、これはアパートの種類によって異なります。また、減価償却費の算出方法は減価償却資産を取得した年月日によっても異なり、2016年4月1日以降に取得したアパートの減価償却費は、以下のように定額法を用いて算出します。
減価償却費=取得価額×定額法の売却率
管理費・管理委託費
管理費とは、経営するアパートが安全に住める状態を維持できるよう、管理するための費用です。アパートの管理を不動産管理会社などへ委託する場合は、その費用を「管理委託費」と呼びます。
管理費・管理委託費は、経費として計上可能です。なお、所有する物件を不動産会社に貸し出し、不動産会社が入居者へ物件を貸し出すサブリース形式で物件を管理している場合には、管理委託費は発生しません。
修繕費
建物の劣化にともなう修繕のうち、維持管理や原状回復が目的で、なおかつ金額が20万円以下の場合は経費として計上できます。建物の資産価値を高めるための修繕(キッチンに最新設備を入れる形でのリフォームなど)は、対象外となるため注意しましょう。
修繕費には、以下のようなものが挙げられます。
- 畳の貼り替え
- 破損した箇所の修理
- 定期的な外壁等の塗装 など
アパート用に借り入れた資金返済で発生する利息
アパートを取得するための資金をローンで借り入れた場合、発生する利息を経費として計上可能です。また、ローンの保証料も経費として計上できます。
ただし、アパート取得用に借り入れた資金の返済における元金部分は、経費に含まれないため注意しましょう。
損害保険料
損害保険料とは、アパートにかけている火災保険や地震保険などの保険料を指します。損害保険料もアパート経営の経費として計上できますが、契約している期間に応じて会計処理が異なる点に注意が必要です。
契約期間が1年の場合は、保険料支払いのタイミングで全額を経費として計上します。対して、契約期間が複数年の場合は、経過した期間分のみ経費化する処理が必要です。例えば、3年契約で契約金が60万円のケースでは、毎年20万円ずつを経費として計上できます。
解体費・立退料
アパートの建て替えなどで発生する解体費のほか、問題のある住人に立ち退きを求めたり、リフォーム・区画整理による退去などで入居者に支払ったりする立退料も、経費として計上できます。
ただし、解体する目的が投資用アパートの建て替え以外の場合(自宅への転用を目的とした解体など)には、解体費・立退料は経費として計上できません。
青色事業専従者給与
確定申告を青色申告で行い、10室以上のアパートを経営している場合に限り、家族や親族に支払う報酬(青色事業専従者給与)を経費として計上できます。
青色申告者と生計を一つにする15歳以上の配偶者・親族のうち、その年を通じて青色申告者の事業に6ヵ月を超える期間専ら従事している人が、青色事業専従者に該当します。
その他の諸費用
ここまで紹介したもの以外にも、事業で必要になった経費であれば、経費として計上できます。その他、計上できる費用の一例は以下のとおりです。
- 仲介手数料:アパート購入時や入居者募集時に、不動産仲介会社に支払う手数料
- 水道光熱費:アパート共有部の水道光熱費
- 通信費:アパート経営で使用したインターネットや電話の利用料金
- 交通費:アパート経営で使用した電車賃やガソリン代など
- 接待交際費:アパート経営で発生した飲食費
- 新聞図書費:アパート経営に関係する新聞や雑誌などの購入費
- 消耗品費:アパート経営に関係する文具代、耐用年数1年未満または10万円未満の備品の代金
- 広告宣伝費:入居者の募集時に発生した宣伝費や広告作成にかかった費用 など
アパート経営の経費として落とせないもの
続いて、アパート経営の経費として計上できないものを解説します。これらを誤って経費に含めてしまった場合、修正が必要になるため注意しましょう。
アパート経営に直接関わらない税金
所得税や法人税などはアパート経営において発生するものではなく、経営者自身が支払う税金であるため、経費には含まれません。ただし、複数の事業を営む場合や副業でアパート経営を行う場合は、損益通算を行うことで節税につながる場合があります。
損益通算とは、その年に発生した利益と損失を相殺することを指し、不動産所得や事業所得、譲渡所得、山林所得において損失が生じた場合に適用が可能です。納税額は所得額をもとに計算するため、損益通算によって利益を損失で相殺し、全体の所得額を減らすことができれば節税につながります。
アパート経営とは無関係の諸費用
プライベートや私的な用途で支払った費用は、アパート経営の経費として計上できません。プライベートの交通費、通信費、個人的な支出(自分用の自動車購入やマイカーローンの返済)などがこれにあたります。これらの諸費用を経費として計上しないよう注意しましょう。
20万円以上、または使用可能期間の延長や価値向上を目的とした修繕費
一ヵ所の工事につき20万円以上かかる修繕費のほか、使用可能期間の延長や価値を高めるための修繕費は、経費ではなく資本的支出とみなされます。
資本的支出とは、固定資産の価値や耐久性の増大に使われたと判断される支出を指し、資本的支出と判断される修繕費は資産として計上し、減価償却を行います。
修繕費として計上できる費用は、あくまで原状回復のためのものに限る点に注意しましょう。
経費で落とせるか判断が難しい費用の対処法
アパート経営とプライベートで使っている費用の処理では、「家事按分」という考え方が有効です。
家事按分とは、アパート経営とプライベートの双方で使用するために発生した費用に関して、使用割合や面積に応じて一部を経費として計上・申告する方法です。
例えば、自宅と事務所を共用している建物の場合、建物の総面積を使用用途で按分し、建物の賃料の一部を経費として計上できます。ほかにも、自宅と共用の通信設備や電話回線の費用を業務時間に応じて按分したり、ガソリン代や自動車税などを利用量に応じて按分したりして経費に計上可能です。
アパート経営とプライベートの利用割合がわかるものは利用割合で、利用割合が明確にわからないものは、全体の3分の1から2分の1を経費として扱うのが一般的です。いずれにしても、家事按分して経費計上する場合は根拠となる資料が必要になるため、利用明細等をしっかりと残しておきましょう。
まとめ
アパート経営では、公租公課・減価償却費・管理費・修繕費など多くの経費が発生します。経費を正しく計上して申告することで、アパート経営による不動産所得を抑えられ、節税につながります。
アパート経営で経費に計上できるものとできないものの違いを把握し、より良い経営に役立ててください。
経費にできるかどうかわからない場合は、不動産の売買や管理などを行っている一誠商事へご相談ください。地域密着の不動産会社として50年以上の歴史を持つ一誠商事なら、確かな知識をもとに、的確にアパート経営のアドバイスができます。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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