不整形地の一つである旗竿地は、その取り扱いの難しさから買い手がなかなか現れないという欠点があります。なぜ旗竿地は取り扱いが難しいのでしょうか。
今回は、旗竿地が売れないとされる理由を解説し、売れない旗竿地を売却・活用につなげる方法を解説します。旗竿地の処分に困っている方はぜひ参考にしてください。
目次
旗竿地(はたざおち)とは?
旗竿地(旗竿地)とは、道路に接している出入り口が狭く、道の奥に一定のまとまった敷地がある土地です。出入り口の狭い道が竿、奥のまとまった敷地が旗のように見えることから、旗竿地と呼ばれています。
複数人による広い土地の相続、土地開発による土地の分割などが、旗竿地が発生する主な理由です。
形状が正方形もしくは長方形に整えられている土地を「整形地」と呼びますが、いびつな形をしている旗竿地は「不整形地」に分類されます。不整形地は同じ面積の整形地と比べると、低く評価されるという特徴があり、売却時の価格も低くなりがちです。
旗竿地が売れないとされる主な理由5つ
旗竿地はなぜ売れないとされているのでしょうか。その主な理由には次の5つが挙げられます。
- 再建築できない可能性がある
- 利用できる面積が少ない
- 私道の取り扱いが難しい
- 日当たりや風通しが良くない
- 銀行の担保評価が低く設定される
再建築できない可能性がある
建築基準法では、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接している状態でなければならないとされています。これを接道義務と呼び、満たさない場合には原則として建物の再建築ができません。
このように旗竿地は建て替えや増築ができないため、購入の選択肢に入りにくいのです。なお、リフォームやリノベーションは旗竿地でも行えます。
また、以下のようなケースでは、接道義務を満たしていなくても、例外的に建て替えが可能です。
- 土地の周囲に公園や緑地などの広い空き地があるケース
- 建築基準法第43条第2項が適用された道路に接しているケース
ただし、旗竿地は重機や建築資材の搬入が難しく建築コストがかかるため、再建築できる土地であったとしても避けられやすいといえるでしょう。
利用できる面積が少ない
通常、旗竿地の竿にあたる部分は通路として活用されるため、建物を建てることはできません。竿部分にある程度の幅がある場合は駐車スペースとして使用できますが、土地を活用しにくいという点でも旗竿地は敬遠されやすいのです。
私道の取り扱いが難しい
旗竿地の間口と路地は私道になっているケースがあり、その権利も複雑な場合があります。
基本的に、私道はその所有者以外は自由に扱えません。私道に給排水管を設置したい場合は、私道の所有者の合意と許可が必要になります。権利関係のトラブルに巻き込まれる可能性があるという点も、旗竿地に買い手がつかない理由の一つといえるでしょう。
日当たりや風通しが良くない
旗竿地は建物に囲まれていることが多く、日当たりや風通しが悪いこともあります。日当たりや風通しは、住宅の快適性を左右する重要な要素です。あまり日が当たらなければ暖房効率にも影響が出て、電気代や燃料代も高くなるかもしれません。
建て替えやリノベーションをすれば、日当たりはある程度確保できますが、前述のとおり接道義務を満たしていない旗竿地は建て替えできず、リノベーション費用もかさみます。
銀行の担保評価が低く設定される
土地や建物などの購入に際して融資を利用する場合、購入する土地や建物を担保に銀行から融資を受けるのが一般的です。
しかし、旗竿地は評価額が低いため、旗竿地を担保に銀行から融資を受けるのは難しくなります。融資を受けられたとしても、その限度額は低くなるでしょう。購入者が資金を調達するのが難しくなるため、旗竿地は購入されづらいのです。
売れにくい旗竿地を売却・活用するには?
売れにくい旗竿地を売却・活用する方法を4つ解説します。所有する旗竿地の特徴をふまえて、さまざまな手法を比較検討しましょう。
- 隣地所有者に売却する
- セットバックを検討する
- 専門の不動産会社へ売却する
- 賃貸物件として貸し出す
隣地所有者に売却する
隣地所有者に土地の購入を打診してみましょう。隣地所有者なら、旗竿地を購入して自身の敷地を広げられます。隣地と旗竿地がつながれば、利用面積の狭さや接道義務による再建築不可といった問題を解決できるかもしれません。
また、土地を隣地所有者と等価交換し、再建築不可の土地を再建築可能にする方法も検討してみましょう。土地の等価交換については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
土地の等価交換とは?メリット・デメリットや注意点を詳しく解説
セットバックを検討する
旗竿地が接地している道路が幅員4m未満の場合、道路に接している敷地を後退(セットバック)させることで、再建設が可能になります。セットバックによって道路の幅が広がり、接道義務を満たせるようになるからです。
ただし、セットバックすると利用できる土地面積が小さくなるため、逆に買い手がつきにくくなる可能性もあります。セットバックが必要かどうか悩んだら自分で判断せず、まずは不動産会社に相談するのがおすすめです。
専門の不動産会社へ売却する
不動産会社のなかには、旗竿地などの不整形地や売却困難な土地を専門に取り扱っている会社もあります。特に再建築不可物件の場合は、買い手がつきづらい可能性が高いため、専門業者への売却がおすすめです。
専門業者なら、一般的な不動産取引よりも早くスムーズに売却できる可能性があります。見積もり結果や取引実績、担当者との相性などを比較しながら、売りたい土地に合った不動産会社を選びましょう。
賃貸物件として貸し出す
建て替えや売却に難がある物件でも、賃貸物件としてなら活用できます。賃貸需要の高いエリアに物件がある場合は賃貸も検討する価値があります。
リフォームやリノベーションをしておくと、借り手はつきやすくなりますが、ある程度のコストが必要です。リフォーム・リノベーションにかかるコストは何年で回収できるかなど、事前にシミュレーションしておくことが大切です。
また、建物を解体して更地にし、駐車場として貸し出すのも一つの方法です。ただし、建物を取り壊すと固定資産税の住宅用地の特例が適用されなくなるため、固定資産税の増加分以上の駐車場収入を得られるかをよく検討してからにしましょう。
土地を駐車場にするメリット・デメリットは?種類別の特徴や経営成功のコツ
旗竿地を売却・活用する時の注意点
土地に建っている住宅を解体すると、固定資産税の住宅用地の特例が適用されなくなります。住宅の解体は、その後の活用方法がはっきりと決まってから行いましょう。
土地の売却にあたって住み替えが必要な場合は、買い手を探す前に済ませておくことが大事です。住み替えを済ませていると買い手がスムーズに内見できるようになるため、物件の印象が良くなります。
また、旗竿地の仲介や売却を依頼する不動産は、旗竿地の仲介・売却実績のある業者から選ぶことが大切です。複数の不動産会社を比較して、自分に合った会社を選択しましょう。
まとめ
旗竿地は不整形地の一種であり、再建築ができない、私道の権利関係が複雑であるなどの理由から買い手がつきにくい土地です。ただ、セットバックなどを行い再建築可能な物件にすれば買い手がつきやすくなります。
旗竿地がなかなか売れない、旗竿地を活用したい、とお悩みの場合は、ぜひ一誠商事へご相談ください。
一誠商事は、地域密着型の不動産会社として東京・茨城エリアに独自のネットワークを展開し、不動産に関するお悩みを解決しています。専門的な知識と長年の事業で培ったノウハウをもとに、不動産を最適な形で売買・利活用できるようサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

記事の監修者:一誠商事編集部
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