山林を相続するメリット・デメリットとは?手続きの流れ、いらないときの対処法も
これから山林を相続するにあたり、メリットやデメリットを把握したうえで損のない選択をしたい方も多いのではないでしょうか。
山林を相続すると、木材を売却したり、貸したりして利益を得られるメリットがあります。しかし一方で、管理の負担やコストがかかるデメリットもあるため、相続するかどうかは慎重に検討することをおすすめします。
今回は、山林を相続する概要やメリット・デメリット、相続手続きの流れ、山林がいらない時の対処法などを解説します。山林の相続で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
山林の相続とは
故人が山林を所有していた場合、そのほかの相続財産と同じく、法定相続人が山林を相続することになります。配偶者は常に相続人となりますが、そのほかの法定相続人の順位は、故人との関係性によって以下のように変わります。
- 第1順位:故人の子(直系卑属)
- 第2順位:故人の親や祖父母など(直系尊属)
- 第3順位:故人の兄弟姉妹
第2順位である故人の親や祖父母などが法定相続人になれるのは、第1順位の子どもがいない時です。また、第3順位の故人の兄弟姉妹は、第1順位・第2順位の人がいなければ法定相続人になれます。
なお、相続人が複数いて、故人の遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分割方法や割合について決める「遺産分割協議」を行う必要があります。
山林の種類は3つ
山林の種類は、以下のように大きく3つに分かれます。
種類 | 概要 |
---|---|
純山林 | 人が住んでいない山林 |
中間山林 | 純山林と市街地山林の中間にあたる山林で、市街地近郊にある |
市街地山林 | 都市計画法上の市街化区域にある山林 |
山林を含む財産を相続する際は、相続税が課されるケースがあることに留意が必要です。相続税が課されるのは、相続財産の合計額が基礎控除を超える場合です。
相続税の基礎控除額は、以下のように計算されます。
【基礎控除額の計算式】
3,000万円+600万円×法定相続人の数=基礎控除額
相続財産の合計額が基礎控除額を超えて相続税が課されるかどうかを知りたいのなら、相続する山林の相続税評価額を求めましょう。山林の相続税評価方法は、その種類に応じて以下のように変わります。
【相続税評価額の計算式(純山林・中間山林の場合)】
固定資産税評価額×評価倍率=相続税評価額
【相続税評価額の計算式(市街地山林の場合)】
(山林を宅地とした場合の評価額/㎡-造成費/㎡)×山林の面積=相続税評価額
固定資産税評価額は、固定資産税納税通知書に添付されている課税明細書で確認しましょう。評価倍率に関しては、国税庁のサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で該当地域の評価倍率表を見ることで確認が可能です。
また、造成費の金額も同じく国税庁のサイトで確認できます。
山林相続のメリット・デメリット
次に、山林を相続するメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
山林を相続した場合、以下のような方法で利益を生み出すことが可能になります。
- 木材を売却する
- 山林を貸す
- 太陽光発電設備を設置する
まず山林の木材に価値がある場合は、売却することで利益を得られます。また、自治体、あるいは林業を営む事業者に貸し出して利益を得る方法もあります。
山林のうち日当たりが良い場所に太陽光発電設備を設置し、売電事業によって利益を得る方法を選ぶのも手です。
デメリット
山林の相続で想定されるデメリットとして、管理負担が大きいことが挙げられます。山林に生えている樹木の管理はもちろん、崖崩れの防止措置なども不可欠です。複数の所有者がいる場合は、ほかの管理者と協力しながら管理する必要もあるので、念頭に置いておきましょう。
また、木材の売却などで利益を得るにしても、管理コストや固定資産税の負担が重く、安定的な事業として成立させることは難しい点は否めません。
将来的に自身の子や孫に山林の管理が引き継がれる可能性もあるため、管理負担が大きい場合は早期の売却などを検討したほうがよいでしょう。
山林を相続する場合の手続きの流れ
続いて、山林を相続する場合、どのような手続きが必要なのかを流れに沿って解説します。
1.相続登記の申請
まずは、山林を管轄する法務局で名義変更の申請を行う必要があります。名義変更の際には、以下の書類が必要になります。
- 被相続人の戸籍謄本、および住民票の除票
- 相続人の戸籍謄本、住民票
- 固定資産税評価証明書
- 印鑑登録証明書
なお、所有者不明土地の発生を防ぐことを目的に、2024年4月1日より相続登記が義務化されています。相続人は、不動産を相続したことを知ってから3年以内に登記する必要があるので注意しましょう。
相続登記の義務化の概要や費用・手続きの流れについて、以下の記事で詳しく解説しています。
相続登記の義務化はいつから?費用・手続きの流れや、登記できない時の対処法も解説
2.市町村への届け出
山林を相続した際は、所有者となった日から90日以内に市町村へ所有者届出書を提出する必要があります。これは、森林法改正によって2012年4月より義務化されている手続きです。
届出書には、届出者と前所有者の住所・氏名、所有者となった年月日、所有権が移転した理由などを記載します。
併せて、登記事項証明書の写しなど権利を取得したことを証明できる添付書類と、土地の位置を示す図面も用意しなければなりません。
3.森林組合への報告
必須事項というわけではありませんが、山林を相続した旨を、管轄の森林組合に報告しておくこともおすすめです。
特に、所有する山林を売却したい、林業などの事業に活用してもらいたい時は、森林組合に相談しておくことで、買主や借主が見つかる可能性が高まります。
相続で山林を所有したくない時の対処法
ここからは、山林を相続する予定であるものの、手放したい時の対処法を紹介します。
相続放棄する
相続開始を知った時から3ヵ月以内なら、相続放棄の手続きが可能です。ただし、相続放棄を選ぶ際は、山林以外の相続財産もすべて放棄する必要があります。
相続財産の価値が高い時は、いったん相続し、あらためて山林を売却するなどの手続きを取ったほうがよいかもしれません。すべての相続財産を把握したうえで、山林を相続したくないから相続放棄をしたい時には、期限までに被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所で相続放棄の手続きを行いましょう。
以下の記事では、土地を相続放棄する時の注意点などを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
いらない田舎の土地を相続した時の対処法は?相続放棄の注意点や土地の活用法も解説
売却する
不動産会社に仲介してもらい、山林を売却する方法もあります。ただし、山林はほかの土地と比べて活用方法が限定的であることから、条件によっては不動産会社経由での売却が難しいケースもあることに留意が必要です。
まずは、周辺エリアの不動産事情に精通しているような信頼性の高い不動産会社に査定を依頼してみるとよいでしょう。特に山林の売却実績がある不動産会社に依頼すると、スムーズに買主が見つかる可能性が高まります。
相続土地国庫帰属制度を活用する
相続土地国庫帰属制度とは、相続または遺贈によって土地を取得した際、一定の要件を満たす場合に土地を国庫へ帰属させられる制度のことです。
ただし、他人の利用が予定されている土地や、土壌汚染されている土地は、相続土地国庫帰属制度の引き取り対象外となるので注意しましょう。
また、山林を売却する時のように利益は得られず、土地1筆当たり1万4,000円の審査手数料を負担しなければならないことにも留意が必要です。
まとめ
山林を相続した場合、木材を売却したり、山林を貸したりすることで利益を得られるケースがあります。とはいえ、山林を管理する負担は大きく、固定資産税も毎年かかることは考慮しなければなりません。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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