賃貸物件を所有している方や賃貸経営を検討している方は、地震のリスクや対策について考えることも多いのではないでしょうか。「大きな揺れに建物が耐えられるか」「入居者の安心・安全を確保できるか」などの心配のほか、「地震保険には加入しておくべきなのか」という疑問もあるでしょう。
そこで本記事では、賃貸物件のオーナーへ向けて地震リスクへの備え方を解説します。今後の賃貸経営に、ぜひ役立ててください。
目次
賃貸経営では地震のリスクにも要注意!
大地震がいつ起こるかは誰にも予測ができません。そのため、賃貸物件のオーナーとして入居者の命を守る対策を最優先で講じることが大切です。
それに加えて、オーナーには地震による経済的リスクが生じる恐れがあることも押さえておく必要があります。最悪のケースとしては、倒壊や火災により建物が住まいとして使えなくなり、その後の賃貸経営を断念せざるを得なくなることが考えられます。建物がまだ使える状態で残ったとしても、損傷箇所を修繕するのに時間と費用がかかることもあるでしょう。
入居者が物件に住めない期間が発生すれば、その間は家賃収入が減ってしまいます。修繕が遅れたりオーナーとしての対応が悪かったりすれば退去者が増えるだけでなく、新たな入居希望者が見つかりにくくなってしまうかもしれません。
賃貸経営を行う方にとって、地震は備えるべきリスクの1つだといえます。
賃貸経営の地震リスクに備えるには
賃貸物件のオーナーとして、大きな地震の発生に備えて行っておきたい3つの対策を説明します。
- 耐震補強や設備点検を実施する
- 地震発生後の行動を確認する
- 地震保険に加入する
耐震補強や設備点検を実施する
賃貸物件のオーナーには、入居者が安全に暮らせる住まいを提供する責務があります。これにより、必ずしも耐震補強の義務が生じるわけではありませんが、あらためて建物の耐震性について確認しておくことがリスクへの備えになるでしょう。
建物の耐震性は、建築された時期からある程度確認できます。1981年6月以降に建築確認許可を受けている場合は、新耐震基準に適合していると考えて問題ありません。震度6強~7程度の地震が起きても倒壊しない程度の強さを持っていることが証明可能です。
それよりも古い建物の場合は、旧耐震基準で建てられていると考えられます。旧耐震基準では震度5強程度までの地震しか考慮していないため、それ以上の大地震が発生したら倒壊してしまいかねません。所有している賃貸物件の築年数が古い場合は耐震診断を受けて十分な耐震性を備えているかを確認しておきましょう。倒壊のリスクを減らすためには、必要に応じて耐震補強工事を行うことが重要です。
また、災害時に消防設備などがきちんと機能するように、定期的な点検を実施することも大切です。点検を怠ると、いざという時に無用な死傷者を出してしまうかもしれません。場合によってはオーナーの過失を指摘され、地震保険が適用されないケースも考えられます。
地震発生後の行動を確認する
地震が発生した際、被害の状況に応じてその後の対応が変わります。建物の破損の程度によって、2パターンの想定をしておきましょう。
1つ目は、建物が全壊などで使えない状態になってしまったケースです。賃貸借の対象となる建物が防ぎようのない理由で消失してしまったら、賃貸借契約は効力を失い終了します。
2つ目は、建物がまだ使える状態にあるケースです。入居者がその後も居住可能なのであれば、賃貸借契約は継続します。ただし、入居者が引き続き安心して暮らせるようにするには、破損した箇所がないかを確認して修繕するなどの対応が必要となるでしょう。
地震保険に加入する
万が一大きな地震が発生すると、賃貸経営に深刻なダメージを与えかねません。復旧に時間と費用がかかることを考えると、地震保険に加入しておくのもおすすめです。
火災保険については、賃貸物件の建設にあたってローンを組む際に加入が必須となっていることから、加入済みのオーナーが多いでしょう。しかし、地震保険への加入は任意です。
建物が頑丈であれば火災保険だけでも問題ないように思えますが、火災保険単体では地震に起因する火災の被害は補償されません。地震のリスクに備えたいのであれば、メリット・デメリットを理解したうえで、地震保険への加入を検討するとよいでしょう。
賃貸経営で地震保険に加入するメリット・デメリット
ここでは、賃貸物件のオーナーが地震保険に加入するメリットとデメリットについて説明します。
なお、地震保険に関しては以下の記事も併せて参考にしてください。
地震保険に加入するメリット
賃貸経営にあたって地震保険に加入する最大のメリットは、地震による被害を受けた建物の修繕費用をまかなえる点でしょう。支払われる保険金の額は損害の状況により変わりますが、建物を復旧しやすくなることは間違いありません。
地震保険による保険金でローンを返済することも可能です。そのため、たとえ全壊により家賃収入が途絶え、ローンだけが残ってしまったとしても、保険金を当面の返済に充てられます。
また、地震保険の保険料は不動産所得を計算する際に経費として計上できるので、所得税の節税になる点もメリットだといえるでしょう。加えて、地震に不安を感じている入居者に対して、「オーナーが保険に入ってくれている」という安心感を与えられる可能性もあります。
地震保険に加入するデメリット
地震保険は必ず火災保険と併せて加入しなければならず、単体での加入はできません。
また地震保険制度により、補償額は火災保険の30~50%の範囲内と定められています。ただし、建物は5,000万円・家財は1,000万円が上限です。なお、賃貸物件が2以上の世帯が住居する共同住宅または長屋造建物である場合は、住居世帯を異にする戸室数に限度額を乗じた額を当該建物の限度額とすることができます。
実際に支払われる保険金は、建物が全壊した際には満額となりますが、半壊の場合は30~60%、一部損壊では5%が限度とされています。
つまり、「保険にさえ入っていれば、すべて大丈夫」というわけではありません。地震保険のみでは、建物を元の状態に直せないケースもあることを覚えておきましょう。
地震以外にも注意!賃貸経営における災害リスクの調べ方
賃貸経営には、地震以外にも風災・水害などの災害リスクが考えられます。ここでは、災害リスクを調べる方法を説明します。
ハザードマップを確認する
災害が発生するリスクの大きさは、地域や立地によって異なります。
そのためまずは「ハザードマップ」を確認し、建物が建っているエリアにどの程度の災害リスクがあるのかを調べてみましょう。ハザードマップとは、自然災害の被災想定区域や避難場所などを表示した地図のことです。国土交通省や各自治体のWebサイトなどで公開されており、エリアごとの災害リスクを確認できます。
地震については、「揺れやすさマップ」も参考になるでしょう。揺れやすさマップとは、同じ強さの地震でも、地盤の違いなどによりエリアごとに揺れの大きさが異なることを表現した地図です。
火災保険や地震保険の契約内容を検討する際にも、これらの情報を参考にできます。
地元の不動産会社に聞いてみる
特定のエリアにおける災害リスクを調べるには、その地域に詳しい不動産会社に尋ねるのもおすすめの方法です。過去にどのような被害があったかなどの具体的な情報を得られる可能性があります。
特に、これから賃貸経営を始めるのであれば、土地選びから相談に乗ってもらえます。すでに賃貸物件を運営している場合でも、耐震補強や保険加入についての判断材料を得られるでしょう。
まとめ
賃貸経営においては、地震のリスクに備えることも重要です。耐震補強や設備点検を実施するとともに、地震発生後の行動についても確認しておきましょう。
建物の損傷や経済的な損失に対処するために、地震保険に加入しておくのもおすすめです。ただし、地震保険には補償額の上限などのデメリットもあります。加入の際は、ハザードマップなどで災害リスクを調べたうえで、必要な補償内容を検討するとよいでしょう。
一誠商事は、地域密着型の不動産会社です。賃貸管理業務の実績が豊富にあり、土地活用や不動産投資に関するコンサルティングも行っています。また、保険のプロが在籍する「保険課」があるため、火災・地震などの災害をはじめとするさまざまなリスクへの備えについてもご相談いただけます。
すでに賃貸物件をお持ちの方はもちろん、これから賃貸経営を始められる方も、お気軽にお問い合わせください。
※こちらは地震保険の概要についてご紹介したものです。ご契約にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくお読みください。また詳しい補償内容については各社の「ご契約のしおり(約款)」に記載していますので、必要に応じて代理店にご請求ください。ご不明な点等がある場合は、代理店までお問い合わせください。
【保険に関するお問い合わせ先】代理店
一誠商事 保険課
TEL:029-868-7171
【引受保険会社】
東京海上日動火災保険株式会社
募文番号:24TC-004248
2024年11月作成
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いただきますので、お気軽にご相談ください。
記事の監修者:一誠商事編集部
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