アパート・マンションの賃貸経営で使える補助金一覧!利用手順や注意点も
賃貸経営には初期費用と維持費用がかかります。かかる費用を削減したい場合は、国や地方自治体の補助制度を活用するのがおすすめです。
国や地方自治体の補助制度は、制度によって補助対象や申請時期などが異なります。利用できる補助制度がないか調べ、早めに事務手続きを行いましょう。
この記事では、賃貸経営開始前と賃貸経営中に利用できる補助金を紹介し、補助金を利用する流れや補助金を利用する際の注意点を解説します。これから賃貸経営を始めたい方や、現在賃貸経営をしている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
賃貸経営開始前に使える主な補助金制度
アパートやマンションなどの賃貸経営に使える主な補助金制度には以下のようなものがあります。それぞれの概要を解説します。
- 地域型住宅グリーン化事業
- 子育て支援型共同住宅推進事業
- LCCM住宅整備推進事業
- 自治体の補助金制度
地域型住宅グリーン化事業
「地域住宅グリーン化事業」は省エネ性能などに優れた木造住宅の整備を支援する事業です。補助対象となる住宅は、認定長期優良住宅と認定低炭素住宅に加え、ゼロ・エネルギー住宅(※)です。
補助限度額は1戸当たり140万円等です。年度によって補助条件や補助金額が変わる可能性があるため注意しましょう。
※エネルギー収支をゼロやプラスにする住宅。ZEH、Nearly ZEH、ZEH Orientedのこと。
参考:地域型住宅グリーン化事業|地域型住宅グリーン化事業評価事務局
子育て支援型共同住宅推進事業
「子育て支援型共同住宅推進事業」は、子育てに配慮した賃貸アパートやマンションなどの新築・改修を支援する事業です。子供の安全確保に資する設備の設置や、居住者らによる交流を促す施設の設置にかかる費用に対して補助をします。
補助限度額は1戸当たり100万円です。なお、居住者らの交流を促す施設への補助限度額は500万円となっています。新築時だけでなく、建築後の改修にも利用可能な補助制度であるため、改修時の事業利用も検討しましょう。
参考:子育て支援型共同住宅推進事業|子育て支援型共同住宅サポートセンター
LCCM住宅整備推進事業
「LCCM住宅整備促進事業」はLCCM住宅の新築(戸建てに限る)を支援する事業です。LCCM住宅とは、ZEHより省二酸化炭素化を進めた脱炭素住宅を指します。補強化外皮基準(ZEH水準の断熱性能)を満たすもの、などの一定の基準を満たすLCCM住宅の新築工事に利用できます。
補助率は1/2で、補助限度額は1戸当たり140万円です。
参考:LCCM住宅整備推進事業|一般社団法人 環境共生まちづくり協会
自治体の補助金制度
地方自治体も独自の補助制度を用意して賃貸経営を支援しています。補助制度の内容は自治体によって異なるため、問い合わせてみましょう。ここでは地方自治体による補助金制度を3つ紹介します。
【大阪府大阪市】建替建設費補助制度
昭和56年5月31日以前に建てられた古いアパートや長屋などを、集合住宅(マンション・アパートなど)に建て替える際に活用できる制度です。設計や解体に要する費用、共同施設整備費の一部を補助します。
【愛知県名古屋市】名古屋市高齢者向け優良賃貸住宅供給促進事業
高齢者向けの優良賃貸住宅を建設する事業者に対し、建設費や家賃減額分を補助する制度です。対象となる住宅は、戸数5戸以上、住戸規模25㎡以上などの条件を満たす必要があります。
【福岡県香春町】
一般向けの賃貸住宅を新築した個人・法人を対象とした補助制度です。建築費(建物工事・外構工事)の一部を、1戸当たり100万円を限度として補助します。
経営中の賃貸物件に使える主な補助金制度
アパートやマンションなどの賃貸経営中に使える補助金制度には以下のようなものがあります。それぞれ概要をみていきましょう。
- 住宅・建築物安全ストック形成事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 住宅セーフティネット制度による補助金
- 住宅エコリフォーム推進事業
- その他の補助金
住宅・建築物安全ストック形成事業
「住宅・建築物安全ストック形成事業」は耐震診断や耐震改修に関する補助制度です。補助対象は住宅や建築物であり、補助率は耐震診断や補助設計で2/3、マンションの耐震改修または建て替え・除却で1/3、その他の建物であれば23%となっています。
住宅・建築物安全ストック形成事業以外にも、住宅の耐震化に関する制度には以下のようなものがあります。必要に応じて各制度を活用するとよいでしょう。
- 耐震改修促進税制(所得税と固定資産税に関する優遇措置)
- 住宅金融支援機構による融資制度
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、既存住宅の性能向上などに向けた優良なリフォームを支援する制度です。補助対象は性能向上リフォーム工事、子育て世帯向け改修工事にかかる費用などであり、補助率は1/3となっています。
なお、補助限度額は事業タイプによって異なり、評価基準型は1戸当たり80万円、認定長期優良住宅型は1戸当たり160万円です。ただし、一定条件に当てはまれば50万円を上限として加算されます。
本事業の申請者はリフォーム工事の施工業者や買取再販業者です。賃貸経営中の方が事業を活用したい場合は、補助対象である事業者に工事を依頼しましょう。
参考:長期優良住宅化リフォーム推進事業|国立研究開発法人建築研究所
住宅セーフティネット制度による補助金
「住宅セーフティネット制度」は高齢者や子育て世帯など、住宅の確保に配慮が必要な方の入居を拒まない住宅として登録した賃貸住宅を対象とした制度です。補助対象となった住宅(セーフティネット住宅)の改修費の補助や融資を行います。
補助対象物件は、床面積が各戸25㎡以上、耐震性を有する(見込みを含む)などの条件を満たしている必要があります。補助対象となる工事には、改修(耐震、省エネ等)・間取り変更、防火・消火対策工事などがあります。
住宅エコリフォーム推進事業
「住宅エコリフォーム推進事業」は、住宅の省エネ化を推進するため、住宅の省エネ性能を上げる改修工事に対して支援する制度です。
支援対象は高いZEHレベルを満たす省エネ性能への改修を目的にした、省エネ診断、省エネ設計等、省エネ改修(建て替え含む)です。診断、設計、改修のうち、期日以降に契約したうえで、事業者登録後に工事着手したものが補助対象となります。
省エネ診断の補助率は1/3です。また、省エネ設計等・省エネ改修の補助限度額は1戸当たり35万円(補助対象費用の4割を限度)となっています。
その他の補助金
上記で紹介した補助金以外にも、地方自治体によって下記のような補助制度を実施している場合があります。利用できる制度がないか自治体の窓口に相談してみましょう。
- リモートワーク環境を整えるための補助金
- 建物の解体や建て替えに利用できる補助金
賃貸経営で補助金を利用する際の基本手順
国や地方自治体の補助制度は、定められた手続きに則って申請しなければなりません。一般的な補助金の利用手順は以下のとおりです。
- 申請
- 交付決定
- 事業実施
- 実績報告書提出
- 補助金申請
- 補助金支払
補助金によって申請の書類や時期、手順は異なります。補助金の受付が先着順となっているものもあるため注意しましょう。自治体が発表する情報を収集し、早めに手続きを始めることが大切です。
賃貸経営で補助金を利用する時の注意点
国や地方自治体の補助制度を利用しても、工事等にかかった費用の満額が補助されるわけではありません。また、基本的に補助金はあと払いである点にも注意が必要です。自己資金は必ず必要になると考え、補助金を当てにしすぎないようにしましょう。
なお、補助金の利用には手続きを要するので、スケジュールや書類の管理はしっかりと行いましょう。国からの補助金については会計検査院、地方自治体の補助金については各監査機関からの審査が入る可能性があります。手続きや内容に不備があると補助金の返還を求められる可能性もあるため注意してください。
まとめ
国や地方自治体の補助制度は賃貸経営の強い味方です。対象となる補助制度がないか確認してみましょう。制度が前倒しで終わっていたり、制度の内容が変わっていたりすることもあるため、自治体のホームページに確認するなどしてから制度を利用してください。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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