市街化調整区域内に使っていない土地があり、活用を検討している方もいるのではないでしょうか。市街化調整区域での土地活用は、ほかのエリアに比べて制限が厳しいため、注意点などを理解したうえで活用方法を検討することが大切です。
この記事では、市街化調整区域の特徴や土地活用の難易度について解説するとともに、具体的な活用方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
なお、以下の記事では、空き地の活用という観点でさまざまなアイデアを紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
空き地を活用したおすすめのビジネスは?目的別のアイデアやポイントまとめ
目次
市街化調整区域とは
市街化調整区域は、都市計画法第7条第3項にて「市街化を抑制すべき区域」として定められています。あえて開発を進めないのは、豊かな自然環境を守るためです。そのため、市街化調整区域では、原則として新たに建物を建てられません。
市街化調整区域に対し、すでに市街化している区域や、積極的に開発を進めるべき区域のことを「市街化区域」といいます。また、市街化区域と市街化調整区域のいずれにも属さいない地域を、「非線引き区域」と呼びます。
市街化区域や非線引き区域では、原則として建物を建てられるのが特徴です。
市街化調整区域の土地活用は難しい?
前章のとおり、市街化調整区域では原則として建物を建てられないため、土地活用の方法が限定されてしまいます。
また、市街化調整区域は都市部から離れていたり、農地が広がっていたりと利便性が低いエリアです。土地活用の方法によっては、いかに集客できるかが重要になるものもあります。利便性が低ければ、土地活用を始めても利用者が集まらず、経営がうまくいかないかもしれません。
このような理由から、「市街化調整区域の土地活用は難しい」といわれることがあります。
ただし、市街化調整区域での土地活用は、以下のようなメリットもあります。
- 競合が少ない
- 周辺環境が変わりにくい
- 固定資産税が比較的安い
市街化調整区域ならではのメリットを魅力に感じる場合は、きちんと戦略を立てたうえで、土地活用を始めてみてはいかがでしょうか。
市街化調整区域での【建物を建てない】土地活用例
そもそも土地活用は、建物を建てなくても始められます。ここでは、建物を建てずに取り組める、市街化調整区域でのおすすめの土地活用方法を紹介します。
駐車場経営
月極駐車場やコインパーキングを整備し、経営する方法です。特に月極駐車場は、整地をして白線などで駐車区画を作るだけで良いため、経営の初期費用を抑えられます。
ただし、先述したように、市街化調整区域での駐車場経営は集客面に不安があります。近隣に観光施設や企業の工場があるなど、駐車場のニーズを見極めることが大切です。
駐車場経営に興味がある方は、メリット・デメリットや経営を成功させるコツを解説している、以下の記事も参考にしてください。
土地を駐車場にするメリット・デメリットは?種類別の特徴や経営成功のコツ
墓地・霊園
ある程度の広さがある土地なら、墓地や霊園として事業者に貸し出す方法があります。墓地や霊園は頻繁に足を運ぶ場所ではないため、市街化調整区域でも需要が見込めるでしょう。土地のオーナーは、事業者から毎月一定の収入(地代)を得られます。
なお、墓地・霊園として土地を貸す場合は、基本的に長期契約になります。その間土地が戻ってこなくても問題ないか、考えておきましょう。
資材置き場
資材置き場として活用する場合は、建物を建てなくて良いだけでなく、整地すら不要なケースもあります。
ただし、活用したい土地の周辺に、資材の保管場所に困っている事業者がいることが前提です。市街化調整区域では、「建物の建設ラッシュで資材置き場のニーズが高まる」といった状況も想定しにくいため、借り手がなかなか見つからないかもしれません。
手軽な活用方法としてはおすすめできますが、収益性があまり高くない点にも注意しましょう。
太陽光発電
野立て(フィールド設置型)の太陽光発電設備は、建築基準法上の「建物」に該当しないため、市街化調整区域での土地活用の選択肢になります。ここまでの活用方法と比べて、土地のニーズや集客を考えなくて良いのが利点です。
一方で、初期投資が必要なことや、売電価格の変動リスクがあることなど、留意点も多くあります。
売却
市街化調整区域の土地は、自分で活用するのではなく、第三者に売却してしまうのも手です。
しかし、原則として建物を建てられないという制限があるため、土地の買い手を見つけるのは簡単ではありません。売却を検討している方は、市街化調整区域についての知識が豊富な不動産会社に依頼することがポイントです。
土地を売却する際の流れやコツなどについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
理想的な土地の売り方を!売却の手順やコツ、費用・税金もまとめて解説
市街化調整区域での【建物を建てる】土地活用例
ここまで、市街化調整区域では、原則として建物を建てられないとお伝えしてきました。「原則」としているのは、自治体ごとの基準を満たしたうえで、開発許可を得られた場合に限り、例外的に建物を建てられるためです。
建物を建てるためには、自治体との事前協議や近隣住民への説明、開発審査会などのプロセスを経る必要があるため、時間や手間がかかることを理解しておきましょう。
ここでは、開発許可を得て建物を建てられると仮定し、市街化調整区域でのおすすめの土地活用方法を紹介します。
高齢者施設
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・住宅型有料老人ホームなどの高齢者向け施設や、特別養護老人ホームなどの公的な社会福祉施設を建てる方法があります。施設の需要があり、かつ施設の運営を検討している事業者が見つかれば、実現できるかもしれません。
施設の規模が大きい分、まとまった初期投資が必要になる点に注意しましょう。
コンビニエンスストア
農家の方など、市街化調整区域内の住民が生活するうえで必要な店舗なら、開発許可申請ができます。具体的には、コンビニエンスストアのように、日用品を販売する店舗が該当するでしょう。
コンビニエンスストアを整備する際には、大きく分けて以下の2パターンから選択することになります。
- 土地と建物を整備して事業者に貸し出す「リースバック方式」
- 土地を貸すだけで事業者が建物を整備する「事業用定期借地契約」
リースバック方式のなかには、事業者が「建設協力金」を貸し付けてくれるケースもあります。
まとめ
意図的に市街化を抑制している市街化調整区域では、原則として建物を建てられないことや、利便性が低いエリアであることなどから、土地活用は難しいといわれています。
ただし、土地のニーズをしっかりと見極めたうえで活用するのであれば、うまく軌道に乗せられる可能性は十分にあります。また、開発許可が得られた場合は、例外的に建物を建てて土地活用をすることも可能です。
難易度が高い市街化調整区域の土地活用は、専門家に相談することが大切です。不動産会社の一誠商事では、豊富なノウハウをもとに、土地の特性に応じた有効活用方法を提案しています。市街化調整区域に活用したい土地をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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有効活用は大きく「貸す」「売る」「買う」の3つに分けられます。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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