相続時に土地を分割(分筆)することや、土地の分譲の際に余りが出てしまうことなどにより、「狭い土地(狭小地)」が発生する場合があります。狭い土地を所有している方のなかには、有効な使い道がないとお困りの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、狭い土地の定義を解説したうえで、狭い土地を活用するメリットやおすすめの活用方法を解説します。土地の活用を諦める前に、まずは本記事をぜひ参考にしてください。
目次
「狭い土地」とは?
狭い土地は、「狭小地(きょうしょうち)」と呼ばれています。
狭小地に明確な定義はないものの、一般的には15~20坪(約50~66平米)未満の土地を指すことが多いでしょう。ただし、郊外では50坪程度でも、狭小地と表現する方もいるようです。
狭小地は、単に面積が狭いだけでなく、以下のように変形した土地(不整形地)であることも少なくありません。
不整形地の種類 | 概要 |
---|---|
三角地 | 不整形地の代表ともいわれる、三角形の形をした土地です。特に角の部分は活用しづらく、デッドスペースを生まないためには工夫が必要です。 | 旗竿地 | L字型の土地で、道路に接する幅の狭い通路部分の土地を「竿」、通路部分を通った奥にある開けた土地を「旗」に見立てたものです。「路地状敷地」ということもあります。 |
傾斜地 | 斜めに傾いている土地です。勾配が30度を超えている傾斜地は、「急傾斜地」と呼ぶこともあります。 |
袋地・無道路地 | ほかの土地に囲まれるなどして、道路に面していない土地です。建築基準法の接道義務を満たさないため、住宅などを新たに建てることはできません。 |
なお、不整形地についてさらに詳しくは、以下の記事をご覧ください。
狭い土地を活用するメリット
狭い土地でも、工夫次第で有効活用が可能です。土地は広ければ広いほど良いと考える方もいるかもしれませんが、狭小地ならではの土地活用のメリットもあります。
ここでは、狭い土地を活用するメリットを解説します。
初期費用を安く抑えて活用を始められる
土地活用方法によっても異なりますが、広い土地を活用する場合は億単位の資金が必要となることも珍しくありません。
一方で、狭い土地なら土地の整備や建物の建築などにかかる費用を安く抑えられます。初期費用が少なければ、金融機関から多額のお金を借り入れる必要もないため、経済的・精神的な負担を減らして土地活用を始められるでしょう。
また、土地活用開始後のランニングコストも比較的安く済む可能性があります。
固定資産税を賄えるだけの収益を目指せる
狭い土地は、そもそもの土地の評価が低いため、固定資産税が安い傾向です。
その土地に合う活用方法を選び効率的に収益を上げられれば、固定資産税を賄える可能性も十分にあるでしょう。特に、「狭い」というだけで立地に問題がなければ、収益性に期待が持てます。
一方で、固定資産税が高くなりやすい広大な土地は、税負担が土地活用の収支に悪影響をおよぼすかもしれません。
狭い土地の有効活用方法7選
ここからは、狭い土地でおすすめの土地活用方法を7種類紹介します。
狭小地の活用(1)戸建て賃貸
戸建て賃貸経営は、一般的な戸建て住宅を賃貸住宅として貸す方法です。
広い土地では、より投資効率の高いマンション経営を選択する方が多いため、賃貸用の戸建て住宅の供給はニーズに対して十分でないといえます。よって、安定した経営が期待できる土地活用方法の一つです。
賃貸用の戸建て住宅の入居者は、ファミリー層が中心になると想定されることから、学校やスーパーマーケットなどが近くにある土地が向いているでしょう。
狭小地の活用(2)賃貸併用住宅経営
賃貸併用住宅経営とは、オーナーが暮らす家の一部を第三者に貸し出す方法です。すなわち、同じ住宅内に自宅部分と賃貸部分が存在します。
将来的に賃貸併用住宅経営をやめたい時は、自身の2世帯住宅として利用するなど、柔軟な対応が可能です。
ただし、狭すぎる土地では自宅部分と賃貸部分を確保しようとすると、それぞれが狭くなってしまいます。狭小地といっても、30坪程度の広さは必要になるでしょう。
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狭小地の活用(3)小規模アパート経営
狭小地でも20坪程度あれば、単身者向けやワンルームのアパート経営が可能です。アパート経営は、ほかの活用方法と比べて収益性が高い傾向にあります。
小規模アパート経営に向いているのは、デッドスペースが生まれにくい正方形や長方形の土地です。
また、強度の高い重量鉄骨造を採用すれば、「オーバーハング」によって狭い土地でも建物の面積を広げられます。オーバーハングとは、下階に対して上階のほうが張り出すような設計を指します。
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狭小地の活用(4)駐車場・駐輪場経営
駐車場や駐輪場の経営は、比較的手間をかけずに始められる土地活用方法です。極端に狭い土地では、建物を建てるよりも駐車場・駐輪場として活用するのが現実的でしょう。
駐車場経営は車1台分から始められ、駐輪場経営も同様にそれほど広いスペースは必要ありません。特に駐輪場は、三角地などの変形地でも活用しやすいのがメリットです。
駐車場には、大別すると「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類があるため、周辺環境などを踏まえて選択しましょう。
土地を駐車場にするメリット・デメリットは?種類別の特徴や経営成功のコツ
狭小地の活用(5)トランクルーム・コインロッカー経営
トランクルームやコインロッカーといった、荷物を預けられる施設を運営する方法もあります。
トランクルーム経営なら、自宅の収納スペースを十分に確保しにくい都心部や、マンション・オフィスビルの近くの土地が向いています。コインロッカー経営なら、駅などの人が集まる場所が適しているでしょう。
いずれも立地が非常に重要である一方で、土地の日当たりなどの条件は気にする必要がありません。
狭小地の活用(6)資材置き場賃貸
資材置き場賃貸は、建設会社や工事の資材置き場として、土地を現状のままで貸す活用方法です。土地を貸すだけなので基本的に初期費用がかからず、土地の維持管理の手間もありません。
なお、会社に対して貸す場合は長期的な契約も見込めますが、工事のための資材置き場として貸す場合は、短期的な土地活用になるでしょう。
狭小地の活用(7)野立て看板の設置
野立て看板は「ロードサイン」とも呼ばれ、企業が通行人や通行車両に宣伝・誘導する目的で設置するものです。人や車の往来が多い立地が向いており、1坪ほどあれば野立て看板用地として活用可能です。
土地のオーナーは広告主からの広告料を、看板業者を通して得られます。自治体によっては、景観条例などで野立て看板の設置に規制をかけている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
まとめ
15~20坪に満たないような狭い土地(狭小地)でも、工夫次第で有効活用できます。正方形や長方形の整った形の土地か、不整形地であるかによっても、適した活用方法は異なるでしょう。
狭い土地だからこそ、初期費用やランニングコストを安く抑えることや、収益で固定資産税を賄うことも期待できます。本記事で紹介した有効活用方法と、自身が所有する土地との相性を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、土地活用を成功させるためには、周辺環境の調査や収支のシミュレーションなど、専門的な知識をもとにした準備が必要です。一誠商事では、豊富な経験やノウハウを活かし、お客様にふさわしいご提案をいたします。狭い土地の取り扱いに関してお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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