底地を買い取りしてもらうには?売却が難しくなりやすい理由や売却方法、注意点を解説
借地権や地上権が設定されている土地である「底地」は、活用の自由度が低く収益性も高くありません。底地の買い取り手がなかなか現れず、その取り扱いについて悩んでいる方も多いでしょう。一度底地となってしまった土地を買い取ってもらうにはどうすればよいのでしょうか。
今回は底地を買い取ってもらうのが難しい理由を解説したうえで、底地を買い取ってもらう方法と買取相場、買い取ってもらう際の注意点などを解説します。
目次
そもそも底地とは?
そもそも底地(そこち)とはどのような土地なのでしょうか。
建物の所有や利用を目的とする借地権や地上権が設定されている土地を、底地と呼びます。底地の所有は、つまり、第三者に土地を貸して賃料収入を得ていることを意味します。底地の所有者は地主、土地を借りている人は借地人と呼ばれ、その特徴から底地は貸地とも呼ばれます。
一方、借地権が設定されている土地を借地人側から見た場合、借地と呼ばれます。発言者の立場は違いますが物理的には同じ土地を指すため、底地と借地はほぼ同義だといってよいでしょう。なお、底地に対する権利は底地権、借地に対する権利は借地権と呼ばれます。
底地の売却が難しいといわれる4つの理由
底地の売却はなぜ難しいのでしょうか。その理由を4つ解説します。
収益性が低いため
底地を所有していると、借地権や地上権の設定による賃料収入を得られます。しかし、土地にかかる固定資産税や都市計画税、管理費は土地所有者が支払わなければなりません。
借地人は借地借家法によって守られており、土地所有者が簡単に土地の賃料を上げることはできません。そのため、土地の価額が上昇し税金が増えれば、底地の収支がマイナスになる可能性があります。リスクを回避するには、固定資産税の増加などに合わせて賃料を増額するなど、賃料増額の交渉をしなければなりません。
活用の自由度が低いため
先述のとおり、土地の借地人は借地借家法によって保護されています。そのため、地主から借地人に対して借地契約の解除を一方的に行うことはできません。
借地権には普通借地権と定期借地権があります。
普通借地権の場合、借地権の存続期間は30年で、契約でこれより長い期間を定めた時はその期間が存続期間となります。期間終了後、借地上に建物があれば、正当な事由がある場合にのみ契約は終了します。正当な事由がない場合、借地人の希望もしくは借地借家法の定めによって契約は更新されます。
なお、借地上に建物がなければ、借地借家法に基づく法定更新は適用されず、地主と借地人の合意がない限り契約は終了です。
定期借地権には一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があります。種類によって権利の存続期間が異なりますが、存続期間終了後は確定的に契約が終了します。
普通借地権であっても定期借地権であっても、契約期間中は底地の所有者が土地を自由に使うことはできません。自由に使えない土地だからこそ、底地を買い取ろうと考える人は少ないのです。
参考:借地借家法
底地の購入では住宅ローンが組みづらいため
不動産の売却で住宅ローンを利用する場合、土地や建物を担保として借り入れるケースが多くなります。
需要の低い底地は市場価値が低く、担保価値がないと評価されやすいため、底地を担保としてローンを組むのは非常に困難です。底地は自身の所有する土地でありながら担保としての活用も難しいのです。
借地人とトラブルになる可能性があるため
底地を所有していると、借地契約の更新や賃料の値上げなどをめぐり、借地人とトラブルになる可能性があります。話し合いで決着がつかない場合は裁判に発展する可能性もあり、裁判になれば費用や手間が発生してしまうかもしれません。
底地を売却する方法
底地を売却する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。底地を売却する方法を4つ解説します。
借地人に底地を売却する
底地を現在利用している借地人に売却する方法は、借地人が底地を買い取る意思と経済力を有する場合に有効な売却手段です。借地人に底地を売却できれば、底地の所有者は借地を管理する必要がなくなり、借地人は買い取りにより賃料の支払いがなくなります。
なお、借地人への売却同様に第三者への売却を検討するのも一つの手ですが、先述のとおり底地のみの売却は難しいため、第三者への売却はあまり現実的ではありません。まずは、借地人に買い取りの意思があるか確認してみましょう。
借地権を解消したのちに売却する
底地の借地権を解消すれば、土地を売却しやすくなります。底地の一部と借地権の一部を地主と借地人で交換する、定期借地期間終了後に借地権を解消するなどの方法で、借地権を外すことができます。
借地権が解消されれば、買い手が自由に土地を利用できるようになるため、買い手が見つかりやすくなります。底地のみの売却よりも高値での取引も期待できるでしょう。
底地と借地権をセットで売却する
借地人が借地権の売却を検討している場合、借地人と共同で底地と借地を同時に売却する方法もあります。土地の購入者は土地に対して完全所有権を得られるため、底地のみよりも売却が容易で、高値での取引も期待できます。
専門の不動産会社に売却する
専門の買取業者に依頼して底地のみを売却する方法もあります。借地人との交渉などは買取業者が行うため、売却の手間がかからないのがこの方法のメリットです。できるだけ高値で速やかに底地を売却したい場合は、専門業者に依頼してみましょう。
底地の買取実績があるか、スタッフの対応が良いか、評判は良いかなどを基準に、最適な業者を探してみてください。
できるだけ高く売りたい!底地の買取相場はどのくらい?
底地の買取相場は売却の相手方によって異なります。底地の買取相場の目安は以下のとおりです。売却の際の参考にしてください。
借地人への売却:更地の買取相場の50%
不動産会社への売却:更地の買取相場の10~15%
第三者への売却:更地の買取相場の10%
※更地の評価額は「路線価×画地補正率×地積」で算出できます。
参考:路線価図・評価倍率表|国税庁
底地をできるだけ高く売りたいなら、まずは借地人への売却を検討しましょう。底地を買い取ることで借地人は土地を自由に利用できるようになるため、高い相場で底地を買い取ってもらえます。
借地人との交渉が難しいようでしたら、不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。底地の買い取りを専門的に行っている業者であれば、高い相場での買い取りが期待でき、スムーズに手続きを進められます。
底地のより詳しい相場を知りたい場合は、不動産会社へ査定依頼するのがおすすめです。相場を知るためにもまずは査定依頼してみましょう。
底地を売却する際の注意点
底地売却後は、借地の契約内容について新しい所有者へと引き継がなければなりません。借地人とのトラブルを防ぐためにも、新しい所有者と情報を共有し、借地人にも底地の所有者の変更を伝えておきましょう。
底地の売却で得た利益は譲渡所得にあたるため、所得税を納めなければなりません。譲渡所得は次の計算式によって算出されます。納期に間に合うよう、忘れずに納税しましょう。
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額
参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
また、底地が共有財産となっている場合、売却について共有者全員の同意が必要です。底地の名義を事前に確認しておき、底地が共有財産となっていないか確認しておくことが大切です。
まとめ
底地は収益性や流動性が低いため、買取手がなかなか見つからないのが現状です。より高い相場での買い取りを希望するなら、借地人へ買い取りを相談してみましょう。借地人との交渉が難しそうなら、不動産会社に相談してみるのがおすすめです。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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