【2024年最新】空き家改正法のポイントを詳しく解説!固定資産税の増税を防ぐ4つの対策も
2023年12月に空き家改正法が施行され、空き家を所有している方にとっては、固定資産税の負担が増える可能性があります。従来は含まれていなかった「管理不全空家(特定空家になるおそれがある空き家)」が新設されたことで、固定資産税の軽減措置が適用されなくなるケースがあるからです。
しかし具体的なポイントを把握して正しい対応を取ることで、損することなく空き家を管理できます。
今回は、空き家改正法の施行の背景を紹介したうえで、固定資産税を抑えるために知っておきたいポイントや、増税を防ぐ対策などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
空き家改正法が施行された背景とは?法改正の要点も紹介
2023年12月13日、空家等対策特別措置法の一部を改正した法律が施行されました。背景には、増加している空き家への対策強化があります。
国土交通省の資料によると、空き家の数は1998年に182万戸でしたが2018年に349万戸に増えており、2030年には470万戸に増える見込みです。
空き家の管理が不適切だと、外壁の落下や壁の破損などを起こすおそれがあります。そのため、空き家が周囲に悪影響をおよぼす前に有効活用したり、除却を促進したりすることが空き家改正法を施行した狙いです。
出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」
法改正の要点
ここでは、今回の法改正の要点について3つの項目で紹介します。
活用拡大
地域の主要なエリアに空き家が増えると、土地が本来持つ機能を低下させるおそれがあります。そのため、市区町村が、中心市街地や地域再生拠点などにおける空き家の用途変更・建替えを促進します。
また、所有者不在の空き家の処分に向けて、市区町村が財産管理人の選定を裁判所へ請求できるようになります。さらに、空家等管理活用支援法人としてNPO法人や、社団法人等を市区町村長が指定できるようになるなど、支援法人制度が整ったことも特徴です。
管理の確保
空き家改正法では、「管理不全空家」に対し、市区町村長が指導・勧告を実施できるようになりました。管理不全空家とは、周囲の生活環境に悪影響をおよぼす「特定空家」の前段階となる空き家のことです。
市区町村は所有者をスムーズに把握するため、所有者情報について電力会社などに提供を求めることが可能になっています。
特定空家の除却等
特定空家に対する勧告・命令等をスムーズに行えるようにするため、所有者に対する「報告徴収権」が市区町村長に与えられました。
また、命令等の事前手続きを行う時間が取れない場合の「緊急時の代執行制度」も創設されています。そのほか、民法上は利害関係人のみが認められている財産管理人の選任請求を、市区町村長も請求できるようになりました。
空き家改正法で固定資産税が6倍に?知っておきたいポイント
空き家改正法によって、固定資産税が最大で6倍になるケースもあるため、注意が必要です。
以下、固定資産税について知っておきたい2つのポイントを紹介します。
固定資産税には特例措置がある
空き家の固定資産税は、所有者が納税する義務があります。1月1日時点における土地の登記上の所有者に、納税義務が課されます。
ただし、住宅付きの土地に対しては、住宅用地の特例を適用することで固定資産税の軽減が可能です。住宅用地の区分ごとの減税割合は、以下のとおりです。
住宅用地の区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) |
課税標準額×1/6 | 課税標準額×1/3 |
一般住宅用地 (200㎡超の部分) |
課税標準額×1/3 | 課税標準額×2/3 |
上表のとおり、小規模住宅用地の区分に当てはまる場合は、固定資産税が6分の1に減税されます。
特例解除で固定資産税が6倍になる
住宅用地に対しては特例が適用されますが、特定空家に認定されると、翌年の固定資産税が最大6倍になってしまいます。これは空き家改正法によって、管理不全空家も特例の解除対象となったためです。
倒壊や衛生的な危険が高い「特定空家」に加え、窓や屋根、壁の一部が壊れているような「管理不全空家」も対象となり、特例の適用対象から外れる空き家は増える可能性があります。
空き家を所有している場合、固定資産税の特例を適用し続けるためにも、定期的な管理や対策は必須といえるでしょう。
空き家の固定資産税が増えるまでの流れ
空き家の固定資産税が増える具体的な流れは、以下のとおりです。
- 指定
- 助言・指導
- 勧告
- 命令
- 行政代執行
上記のとおり、空き家の指定を受けたのち、助言・指導の段階で適切な管理を行うように促されます。この段階で適切に対応すれば、空き家の指定を解除できます。
しかし、適切に対応できなければ勧告を受けてしまい、固定資産税の特例が解除されるため、注意しましょう。助言・指導があった場合は、すぐに対応することが重要です。
なお、行政代執行とは、空き家の所有者などに代わって行政が措置を強制的に行うことを指します。緊急性が高いと判断された場合は、強制的に空き家を解体されるうえ、発生した費用は所有者に請求されます。
【空き家改正法】固定資産税の増税を防ぐ4つの対策
続いて、空き家改正法による固定資産税の増税を防ぐ対策を、4つ紹介します。
行政の指示にしたがって改善する
空き家として指定された場合、行政から受けた助言・指導の内容にしたがって改善を図ることで、空き家の指定を解除してもらえる可能性があります。ただし、改善したのちも、空き家の状態が悪化しないように定期的な管理は必須です。
自身で管理する時間を捻出しづらい場合は、不動産会社の「空き家管理サービス」を利用するのも手です。空き家管理サービスを利用すれば、家の外部や庭木の確認、換気などを行ってくれるため、しばらく空き家を手放す予定のない時も便利に利用できるでしょう。
空き家と土地を売る
空き家のまま、古家付き土地として売る方法を検討してもよいでしょう。古家付き土地として売る場合、建物の解体費用を売主が負担せずに済むことがメリットです。
一般に、建物の解体費用の相場は以下とされています。
- 木造:3~4万円/坪
- 鉄骨造:5~6万円/坪
- RC造:7~8万円/坪
例えば、木造の空き家で40坪程度ある場合、約120~160万円の費用がかかることになります。しかし、解体せずに売却できれば、費用負担が発生しません。
更地にして売る
空き家を解体し、更地にしてから売る方法もあります。更地にして売却するため、古家付き土地に比べると買い手が見つかりやすいでしょう。
特に地価の高いエリアは、建替えを希望する売主が多い傾向にあります。ただし、更地にして売るかどうかは、エリアの特性や解体にかかる費用も考慮する必要があるため、地域の土地情報に詳しい不動産会社に相談することをおすすめします。
賃貸物件・駐車場として活用する
空き家のリフォーム、もしくは立て替えを行い、賃貸物件にするのも手です。特に賃貸戸建てのニーズは高い傾向で、立地によっては借り手がすぐに見つかる可能性があります。近年は、入居者の希望に合わせてリフォームするケースが一般的です。
また、空き家を解体して駐車場に整備し、収入を得る方法もあります。駐車場にした場合、初期費用を抑えつつ、安定して収入を得られるところがメリットになります。
空き家を貸す際のメリット・デメリットや、具体的な手続き方法は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
空き家を貸したい!貸す際のメリット・デメリットや手続き方法も解説
駐車場経営について詳しくは、以下の記事で紹介しています。
土地を駐車場にするメリット・デメリットは?種類別の特徴や経営成功のコツ
まとめ
空き家改正法によって、固定資産税の特例が解除される空き家の対象が増えています。固定資産税の増税を防ぐためにも、空き家管理サービスの活用による手入れや、売却、土地活用といった対策を検討しましょう。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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