田んぼを所有していて、「せっかくの田んぼを何かに使いたいけれど、どうすれば有効活用できるのかわからない」とお悩みの方も少なからずいるのではないでしょうか。
田んぼの土地活用には、田んぼのままで活用する方法と、農地転用によって田んぼ以外の用途で活用する方法があります。事前に活用例を把握することで、自身の所有地に適した活用方法を見つけやすくなるでしょう。
この記事では、田んぼのおすすめの活用方法について紹介するとともに、田んぼの土地活用を検討する際の注意点について解説します。
目次
田んぼのままで土地を活用したい方におすすめの方法3選
まずは、「田んぼをできる限りそのまま活用したい」と考える方におすすめの選択肢を3つ挙げ、それぞれ詳しく解説します。
活用方法① 自身で田んぼとして活用する
田植えなどの農業に興味がある場合は、自分自身で田んぼとして活用するのがおすすめです。すでに田んぼとして土地が整備してあるため、米作りを始めやすいことに加え、農作物の自給自足の実現や販売による収益獲得などのメリットが期待できるでしょう。
面積が大きいなどの理由で田んぼを1人で活用するのが難しい場合は、近隣の農家に農地を貸しだし、活用してもらうことを検討するのも一つの選択肢です。
ただし、田んぼを貸し出す際は、農業委員会、一定の場合は都道府県知事から許可を得るための手続きが必要になる点に留意しましょう。
活用方法② 農地集積バンクを活用し貸し出す
自身で田んぼを活用しない場合、別の農家に貸し出すのも手段の一つですが、なかには「借り手をどう探せばいいのか」と悩んでしまうケースも少なくありません。その場合、「農地集積バンク」を活用するのがおすすめです。
農地集積バンクとは、田んぼ(農地)の賃貸・売買を行いやすくするための制度で、農地を借上げ貸し手と借り手、売り手と買い手をつなぐ役割を担います。
農地集積バンクは、農林水産省や市区町村といった公的機関が管轄しています。そのため、安心して利用できる点がメリットです。加えて、農地集積バンクを活用した貸出期間は原則として10年と決まっていることから、長期的に安定した収益が期待できます。
活用方法③ 田んぼとして売却する
田んぼのまま売却してしまうのも、活用方法としておすすめの方法です。
自身で田んぼを利用する予定がない方や、できるだけ早く手放したい方、使っていない土地をまとまった現金に変えたいと考えている方に適しています。
田んぼを農地のまま売却する場合も、前述の農地集積バンクを活用するのがおすすめです。また、事前にどのくらいの価格で売却できるのかを知りたい方は、一括査定サイトの活用や複数の不動産会社への査定依頼を検討するとよいでしょう。
田んぼ以外で土地を活用したい方におすすめの方法4選
田んぼは、「農地転用」を行うことで田んぼ以外の用途での土地活用が可能です。
ここからは、農地転用について解説するとともに、田んぼ以外でおすすめの4つの土地活用方法を紹介します。
農地転用とは
農地転用は、田んぼなどの農地を別の用途で利用できる「普通の土地」にするための手続きを指します。農地転用には都道府県知事、もしくは市町村の許可を得るための所定の手続きが必要です。
手続きを行わないと土地に建物などを建てることはできず、無断で転用した場合は農地法違反となり、処罰の対象となる恐れもあるため注意しましょう。
農地転用手続きによって転用が認められれば、土地を不動産として売却できるようになります。そのため、前述した田んぼとしての売却ができなかった場合や、「農地として売却するのが難しくても、普通の土地なら売却できるかもしれない」というケースにおすすめです。
活用方法① 賃貸アパート経営
転用した田んぼの周囲に商業施設や学校、病院などがあり、賃貸需要が見込める場合は、賃貸アパートを経営するのがおすすめの活用方法です。
入居者を確保できれば長期的に家賃収入を得られるほか、固定資産税や相続税の減額措置の対象となるため、収益を得たい方、節税したい方に適しています。
ただし、アパートの建築が前提となるので、建築費などの初期費用が大きい点には留意しましょう。
アパート経営に関しては以下の記事でも解説しています。興味のある方はぜひ参考にしてください。
アパート経営を個人事業主として始める際の基礎知識|メリットや法人化の考え方も解説
活用方法② 医療・高齢者施設として経営or貸し付け
田んぼを転用したあとに整地し、医療施設もしくは高齢者向け施設を建設して経営する、または事業者に貸し付けて賃料を得るのも、おすすめの活用方法の一つです。
これらの施設の経営は、少子高齢化の進行という近年の社会的背景を踏まえ、今後も安定した需要が見込める点に特徴があります。
施設建設費などの初期費用が高い反面、収益性が高く補助金も利用可能なケースがある点がメリットです。加えて、税金の優遇措置が適用される場合も少なくありません。
活用方法③ 駐車場経営
人口がある程度多い地域にある田んぼの場合は、転用後に駐車場経営を行うのもおすすめです。駐車場経営は、ほかの活用方法と比べると初期投資額が少なく済む傾向にあるうえ、月極駐車場を選択すれば専用の機器を設置する必要もなく手軽に始められます。
ただし、周辺に車を利用する人が多い立地でないと、駐車場経営で収益を得るのは困難です。しっかりとした事前調査が重要となります。
活用方法④ 太陽光発電
所有している田んぼの日当たりが良く面積が広大な場合は、太陽光発電の設置も転用後の選択肢となり得るでしょう。
太陽光発電を設置する際は、近隣に日光を遮るような高い建物がないか、日照時間は長いかなどを調べたうえで検討するのがポイントです。
田んぼの土地活用を検討する際の4つの注意点
最後に、田んぼの土地活用を検討するうえで注意すべき4つの点を詳しく解説します。
土地の種類によっては農地転用ができない場合がある
たとえ田んぼとして使われていたのは同じであっても、土地によっては農地転用の対象外となる可能性があるため注意が必要です。
農地転用ができるのは、「第2種農地」や「第3種農地」に該当する田んぼです。具体的な要件としては、市街地の区域内にあること、もしくは市街地化の傾向が著しい土地であることなどが挙げられます。
一方、農地転用ができないのは「甲種農地」「第1種農地」「農用地区域内農地」に該当する田んぼです。具体的な要件としては、農業を始めて8年以内であること、集団農地かつ農業機械で営業できることなどが挙げられます。
上記に該当する場合、それぞれの要件が外れるまで農地として活用し続けるか、もしくは農地として活用するしかないため注意しましょう。
農地転用を行っても活用方法の選択肢が限られる場合がある
農地転用を行った土地でも、条件によっては建物を建てられない可能性があります。その場合、賃貸アパートや医療・高齢者施設の経営といった、建物の建築を前提とする活用方法は選べません。
建物を建てるには、幅4m以上の道路に対して2m以上接している土地であることが原則として必須です。この条件に該当しない場合は、別の活用方法を探す必要があります。
また、条件を満たしていても、建物の建築にともなうガスや水道の引き込みなどで多額の工事費が発生するケースや、地盤の安定化工事が必要なケースがある点には留意しましょう。
活用方法を検討する際は税金も考慮する
活用方法を選択する際は、税金についてもチェックすることが大切です。
例えば、土地の固定資産税は、宅地と比べると田んぼのほうが安いとされています。農地の固定資産税は「農地区分」という土地の分類ごとに決定されるためです。
したがって、なかには転用せず田んぼのまま活用したほうが、納付する税金を安く抑えられるケースがあります。
一方で、周辺地域にとって需要がないのに、固定資産税が高く算出される駐車場のような活用方法を選んでしまうと、納める税金に見合うだけの収益は得られません。かえって出費がかさんでしまう恐れもあるため注意しましょう。
周辺環境に合った活用方法を見極める
農地転用を含めた田んぼの活用方法を選択する際は、その土地に需要がありしっかり有効活用できる方法かを確認することが大切です。
例えば、賃貸需要がないのにアパートを経営する、商業施設がなく人口が少ないのに駐車場にするなど、十分な収益が期待できない方法は選ばないように注意すべきです。
適した活用方法を見極めるには、周辺環境や需要をしっかり調査し情報を集めることが欠かせないといえるでしょう。
まとめ
田んぼの活用方法としては、自身で使用するだけでなく、近隣の農家への貸し出しや、農地集積バンクを活用した売却などが挙げられます。
加えて、農地転用を行えば田んぼ以外の用途でも活用できるため、賃貸アパート経営や駐車場、太陽光発電など幅広い選択肢から適した活用方法を検討するとよいでしょう。
田んぼの活用方法を考える際は、農地転用ができるかどうか、検討している活用方法に適した土地かを考えるだけでなく、税金についてもチェックすることが大切です。
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