売れない土地を目的なく相続してしまい、あとから対処に困るケースは少なくありません。そのため、もし相続前なら売れない土地を所有するリスクを考慮し、慎重に判断を下す必要があります。
一方、すでに相続してしまっている場合は、手放す、売却が難しいなら少しでも売却しやすいように工夫するなど、なるべく早く行動に移すことが大切です。
今回は、売れない土地を相続し所有するリスクや、相続後の対処法について詳しく解説します。
目次
売れない土地を相続してしまうケースは多い
農地や山林が代々引き継がれている土地や、親が過去に取得したものの現在では資産価値が下がっている土地など、売れない土地を知らずに相続してしまうケースは少なくありません。
また、売れないとあらかじめわかっている土地の場合は、誰も取得したがらないため、相続の際にトラブルに発展しやすいといえます。
したがって、相続する可能性のある土地が「売れる土地」なのか、それとも「売れない土地、売りにくい土地」なのかを見極めることは、無用なトラブルを避けるためにも不可欠です。
売れない・売りにくい土地の特徴
「売れない土地」、「売りにくい土地」といっても、その理由は多岐にわたります。なかには、自分の相続した、もしくは相続する予定の土地が売れない・売れにくい理由がわからないという方も少なくないでしょう。
売れない土地や売りにくい土地に該当する特徴としては、大きく分けて以下の5つが挙げられます。
土地の立地が良くない
土地が売れるかどうかは、立地の良さが大きく影響します。立地の良い土地としては、例えば、「駅から徒歩数分の距離にある」「近隣に商業施設や病院などがある」「大都市の駅に近い」などが挙げられるでしょう。
対して、上記の条件を満たさず交通や生活の利便性が悪い、もしくは近辺に汚水処理場や墓地といった嫌悪施設がある土地は、立地が良くないと判断され、売るのが難しくなります。
土地の周辺環境が良くない
前述の立地に加えて、土地の周辺環境が良くない場合も、売れにくくなる要因となります。
例えば、「人気のない田舎のため需要がない」「近隣住民の間でトラブルが起こっている」、「騒音がある」などが該当します。これらの環境は、土地を所有している個人や買い手が購入後に改善することは困難なため、売るのが難しいのです。
土地の形状が良くない
土地は、基本的に正方形に近い形状であるほど売れやすいとされています。対して、細長い、三角形など正方形ではないいびつな形の土地は建物が建てにくいなどの理由から需要が低く、売れにくいため注意が必要です。
また、土地の面積に関しても、極端に広い、もしくは狭い場合も有効活用しにくいために需要が低く、売るのが難しいといえるでしょう。
土地の地盤が良くない
盛土や埋立地のような土地は地盤が弱く、自然災害のリスクが高いため売れにくくなります。加えて、その土地がどのように活用されていたのかも、売りやすさに影響をおよぼします。
例えば、土壌が汚染されていたり地中に浄化水槽などの埋蔵物があったりする場合、売るのが難しくなる可能性が高いでしょう。土地がどう活用されていたかは、土地の利用履歴をチェックする、もしくはレーダーを使用し地中障害物の有無を調査することでわかります。
法律上の制限がある
新しい建物が建てられない再建築不可の土地や、道路に接していない土地など、法律上の制限によって住宅を建てられない土地は有効活用しにくいため、売るのが難しいでしょう。
加えて、隣の土地との境界線が未確定な土地も、建物を建てる時に隣の土地の所有者とトラブルになる恐れがある点から買い手に敬遠されやすく、需要が低い土地となります。
売れない土地を相続して所有し続けるリスク
売れない土地を相続して所有し続けることは、さまざまなリスクがあるため注意が必要です。
具体的なリスクとしては、以下が挙げられます。
- 土地の固定資産税を支払い続けなければならない
- 土地の維持や管理を続ける必要がある
- 崩落が起こる可能性がある
- 不法投棄される恐れがある
- 所有する土地で起きたトラブルにより近隣に被害がおよんだ場合、損害賠償責任を問われる恐れがある
- 将来的に次の相続人に負担や迷惑をかけてしまう可能性がある(売れない土地の問題を将来に先送りしてしまう) など
そのほか、土地にある建物が老朽化する可能性や、所有し続ける間に土地の価値が下落してしまう恐れがあります。
これらのリスクを避けるためにも、売れない土地は所有し続けるのではなく、自身の納得いく方法でできる限り早急に手放すのがおすすめです。
売れない土地のみの相続放棄はできない
売りにくく所有し続けるリスクもある土地だと事前にわかっている場合は、相続放棄をするのも選択肢の一つです。
ただし、土地以外の財産の相続予定がある場合、売れない土地のみを相続放棄することはできません。民法では、財産のうち一部のみを相続する、もしくは相続を放棄することを認める規定がないためです。
したがって、預貯金や家など別の財産を相続したいと考える場合は、土地も含めて相続する、もしくは相続人同士で相談し誰かに土地を相続してもらう必要があるでしょう。
売れない土地を相続した際の対処方法
ここからは、売れない土地を相続した場合の対処法を4つ紹介します。
すでに売れない土地を相続することが決まっている、もしくは将来相続する土地が売れない土地だった場合どうすべきか知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
売れやすい状態に近づける
売れない理由が「隣の土地との境界が未確定」「地盤や土壌の状態がわからない」などに該当する場合は、問題を改善し売れやすい状態に近づけることが大切です。
例えば、隣接地との境界が不明なのであれば、隣の土地の所有者と相談して境界を確認し、土地家屋調査士に立ち会ってもらい境界確定を行うとよいでしょう。地盤や土壌に問題があるのであれば、地歴調査や地質調査によってこれまでの利用履歴や土地の状態を確認し、どのくらいリスクがあるのか判定するのがおすすめです。
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売却方法を工夫する
特定の売却先や売却方法にこだわらず、さまざまな選択肢を模索するのも対処法の一つです。
例えば、住宅用地では需要が少ない土地でも、事業用地として売却する方法を採れば一定の需要が見込める場合があります。そうしたケースでは、事業用地向けの土地の売却に強い不動産会社に依頼するのがおすすめです。
そのほか、空き家がある場合は地方自治体が管理している空き家バンクに登録したり、農地転用などで土地の用途を変更したりするなど、工夫次第で売却の機会が増やせるでしょう。
売却以外の方法を検討する
土地の改善や売却方法の工夫によっても土地が売れない場合は、売却以外の方法を検討するのがおすすめです。
売却以外の方法としては、自身で活用する、不動産会社に仲介ではなく買い取りを依頼する、もしくは自治体や個人、法人に寄付するなどが挙げられます。ただし、不動産会社に買い取ってもらう場合は、相場よりも売却価格が低くなる点に留意する必要があります。
また、相続したものの売れない土地を有償で国に引き取ってもらえる相続土地国庫帰属制度も活用できるため、費用がかかっても手放したいという場合に検討してみるとよいでしょう。
相続した土地の活用方法について知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
【初心者必見】相続した土地の4つの活用方法とは?選ぶ時のポイントや土地売却も解説
国による土地の引き取りについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
[2023年4月から法改正]不動産を相続したらやるべきことが増える?不要な土地は国が引き取ってくれる?
土地活用の実績が豊富な不動産会社や、相続に強い不動産会社に相談する
不動産会社は、土地を主に取り扱う点は共通していても、得意な売り出し方がそれぞれ異なります。したがって、土地活用に強い不動産会社や、土地活用の実績が豊富な不動産会社に相談することで、売主の希望や土地に合った最適な提案を受けられるでしょう。
また、土地を相続する前であれば、相続に強い不動産会社に相談するのがおすすめです。土地だけでなく相続に関する知識も豊富なため、より的確なアドバイスを受けられる可能性が高いといえるでしょう。
まとめ
立地や周辺環境に難がある土地、形状や面積に問題がある土地など、売れない土地を相続してしまうと、固定資産税の納付や維持・管理の負担がかかるなどのリスクがあります。
加えて、対処できずに所有し続けた場合はお子様やお孫様など、将来の相続人へ負担や迷惑をかけてしまう恐れもあるでしょう。
売れない土地への対処としては、少しでも売れやすい状態に改善する、売却方法を工夫する、売却以外の方法を検討するなどがおすすめです。また、土地活用や相続に強い不動産会社に相談するのも有効です。
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