自身が所有または管理している物件が事故物件になってしまった場合、「売却できるだろうか?」と不安になる方は少なくないでしょう。たしかに事故物件は通常の物件と比べると売却しにくいものの、「実は事故物件ではなかった」というケースもあるため、正しい知識を身に付けることが大切です。
この記事では、事故物件とはどのような物件を指すのかを解説するとともに、把握しておくべき告知義務や売却方法についても解説します。
目次
事故物件とは
事故物件とは、基本的には「何らかの要因により、人が亡くなった物件」を指します。不動産の売買においては、心理的瑕疵の告知義務が生じる物件を事故物件と呼ぶのが一般的です。
ただし、事故死・自然死があった物件すべてが事故物件というわけではありません。国土交通省が策定した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」の定義に当てはまらない場合は、事故物件ではないとされているためです。
参考:国土交通省|「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました
事故物件は、心理的瑕疵の影響から「住みたくない」と抵抗を感じる人が多いため、利便性や条件が良くても売りにくいとされています。したがって、売却を検討する際は通常の物件よりも売れるまでの期間が長引くことを視野に入れておく必要があるでしょう。
事故物件の売却価格の相場は?
事故物件は、売却自体は不可能ではありません。ただし、売却相場は通常の物件よりも下がる可能性が高い点に留意すべきでしょう。
事故物件の売却価格の下げ幅は1~5割といわれ、事故物件になった要因(死因)によって変動するのが特徴です。例えば、自然死や孤独死、事故死は1~2割、自殺は2~3割、他殺は3~5割ほど相場が低くなるとされています。
ただし、上記はあくまで相場であり、実際の売却価格は事故物件となった要因の詳細や程度によって変動するほか、買い手側の事故物件に対する意識によっても異なります。
加えて、仲介を依頼する不動産会社によっても売却の設定額が変わることがあるため、希望価格で売れないと考える前にまずは相談してみることが大切です。
事故物件を売却する際は「告知義務」を遵守しなければならない
事故物件の売却では「告知義務」が発生します。告知義務とは、売却する物件に何らかの瑕疵がある場合、取引の際に購入希望者にその事実を伝える義務のことです。以下は、告知義務が生じる条件の主な例です。
- 過去に殺人事件や自殺、事故死があった
- 原因不明の死亡者が出た
- 自然死発生後、長時間放置され特殊清掃が行われた など
ちなみに、通常の自然死であれば、前述の国土交通省のガイドラインで告知義務の条件に当てはまりません。したがって、ガイドライン上の事故物件にも該当しないといえます。
告知方法
告知は、物件の売買契約を締結する前の重要事項説明のタイミングで行うのが一般的です。事故物件の告知は、購入希望者にとって購入すべきかを判断するうえで必要な情報となるため、必ず行いましょう。
また、可能な限り早い段階で告知しておく、もしくは売買契約書や重要事項説明書などの書類にも記載しておくと、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。
加えて、心理的瑕疵に関する告知を行う際は、購入希望者に不安や不信感を与えないよう、事故があった「場所」と「時期」を明確に伝えることが重要です。
告知義務を怠るとどうなる?
告知義務を怠り、事故物件であることを隠して売却した場合、告知義務違反となるだけでなく、購入者から契約不適合責任を問われる可能性があります。その結果、売買契約の解除や売買価格の減額だけでなく、損害賠償請求のリスクが生じる恐れもあるため注意が必要です。
事故物件を売却する際は、購入希望者のためだけでなく、上記のようなトラブルを避けるためにも、心理的瑕疵を隠さずに告知義務をきちんと果たすことが大切です。
事故物件を売却する2つの方法
ここからは、事故物件を売却する主な方法について解説します。
売買仲介を利用して売却する
不動産会社などに仲介を依頼し、一般の購入希望者に物件を売却する方法です。売買仲介は高値での売却も不可能ではないため、時間がかかってもなるべく高く売りたい方に適しています。
ただし、不動産会社によっては事故物件を取り扱っていないケースもあるため注意が必要です。事前に対応物件や実績などをチェックし、事故物件を取り扱っている不動産会社や事故物件に強い不動産会社を選ぶとよいでしょう。
不動産会社などの事業者に直接買い取ってもらう
不動産会社に直接買い取ってもらうのも、事故物件を売却する方法の一つです。双方で決めた条件に納得できればすぐに売却できるため、少しでも早く売りたい方に適しています。
ただし、直接買い取ってもらう場合は売買仲介よりも売却価格が下がる傾向にある点に留意しましょう。
事故物件を売却する際の4つのポイント
最後に、事故物件を売却する際のポイントについて4つ挙げ、それぞれ詳しく解説します。
事前に修繕・清掃を行う
事故物件を売却する際は、原因となった部屋(現場)の清掃はもちろん、外観なども含めて物件全体をきれいな状態に保つことが大切です。事故物件は通常の物件よりも第一印象が悪くなる傾向にあります。しかし、できるだけ清潔にしておくことで、印象を少しでも改善できる可能性があります。
加えて、修繕やリフォームを実施すると衛生面の不安の軽減にもつながるため、併せて検討するのがおすすめです。
特殊清掃を行う
通常の清掃では落としきれない汚れやにおいが気になる場合は、特殊清掃を依頼するとよいでしょう。特殊な薬品や清掃方法を用いるため、一般的なハウスクリーニングでは対応できない場合でも清掃可能です。
また、前述の清掃や修繕、特殊清掃と併せて、購入希望者の不安払拭のために寺社へご供養やお祓いを依頼するのも手段の一つです。事故物件に強い不動産会社のなかには、ご供養・お祓いを依頼できる寺社を紹介してくれるケースもあるため、一度相談してみるとよいでしょう。
一定の期間を空けて売却する
事故物件となる要因が発生してからすぐ売るのではなく、数年単位の期間を空けて売却するのもおすすめです。一般的には時間が経つことで、事件・事故の詳細が希薄化する傾向にあることから、期間をおくことで物件の売却価格が高くなる可能性があります。
ただし、期間を空けた場合でも、売買における告知義務はなくなりません。また、事故物件の要因となった事件・事故の内容によっては、人々の記憶に長くとどまることもある点に留意する必要があるでしょう。
更地にして土地を売却する
周辺の人の記憶に残るような事件・事故が起こってしまった場合、清掃や修繕を行っても、物件に対してのマイナスイメージが残り続ける恐れがあります。
この場合は、マイナスイメージの原因である建物をすべて取り壊し、更地にして土地を売却するのも手段の一つです。解体費用がかかるものの、建物が残っている状態より売却しやすくなる可能性があります。
ただし、更地にすると建物が建っている状態のままよりも固定資産税や都市計画税の税額が上がるため、できるだけ早く売却するのがおすすめです。また、更地にしたあとはコインパーキングや月極駐車場などとして活用し、現場イメージの回復を図りつつ、収入源を確保するのも選択肢となるでしょう。
まとめ
事故物件を売却する際は、国土交通省のガイドラインの定義に該当する場合は告知義務が生じる点や、売却価格が一般の物件相場よりも低くなる点に留意する必要があります。
事故物件の売却では、売却方法をはじめ、特殊清掃やリフォームの有無、販売を開始するタイミングによって売れやすさや価格が変動します。そのため、必要に応じて不動産会社など専門家に相談しながら売却を進めることも大切です。
一誠商事では、物件を売りたいという方に向けて、無料査定サービスや売買サポートなど、売却にともなうさまざまな活動や手続きをサポートしています。少しでも早く物件を売りたい方にも最適な自社での不動産買取も行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

記事の監修者:一誠商事編集部
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