アパートローンは、アパートの建築・増改築や購入費用などに充てられるローンです。アパート経営のための融資であり、自分で住むことを目的とする住宅ローンよりも審査が厳しい傾向にあります。

これに対して、日本政策金融公庫には、アパート経営者が低金利・低リスクで融資を受けられる制度があります。同制度を利用するメリットや条件を解説するので、ぜひ本記事をアパート経営に役立ててください。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫で利用できるローンは、民間の金融機関によるアパートローンとは異なります。まずは、日本政策金融公庫の概要と、申し込み可能なローンについて見ていきましょう。
なお、民間の金融機関が提供するアパートローンについては、下記の記事をご覧ください。

アパートローンとは?審査基準や利用する際の注意点をまとめて解説

政府が出資する金融機関

日本政策金融公庫は、政府が100%出資する金融機関です。政府の方針に沿って融資を行っており、「事業を支援する」という側面が強い点に特徴があります。

同公庫は、かつての国民生活金融公庫・中小企業金融公庫などが統合し、2008年10月1日に発足しました。まだ歴史が浅い組織のようにも思えますが、前身まで含めると約70年分のノウハウがあります。

なお、日本政策金融公庫は、「フラット35」などの個人向け住宅ローンを提供している住宅金融支援機構(旧:住宅金融公庫)とは別の組織です。

アパート経営も支援対象

日本政策金融公庫に、アパートローンに該当する枠組みはありません。

アパートの建築・取得には、通常「一般貸付」を利用します。こちらは、ほとんどの業種で運転資金や設備資金として利用できる一般的なローンであり、アパート経営にも利用可能です。

日本政策金融公庫には、ほかにも複数の融資制度があります。アパート経営を始める予定の人や、創業してから間もない場合は、「創業支援貸付利率特例制度」の併用も可能なので、検討しましょう。

日本政策金融公庫でアパートローンを組むメリット

日本政策金融公庫でアパートローンを組むメリット
アパート経営にあたり、日本政策金融公庫でローンを組むことには以下のようなメリットがあります。

  • 金利が民間の金融機関よりも低い
  • 金利変動リスクを回避できる
  • 優遇措置がある

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

金利が民間の金融機関よりも低い

日本政策金融公庫でローンを組む際の金利は、相場よりも低くなるケースが多く見られます。金利だけで比べれば、民間の金融機関でアパートローンを組むよりもメリットが大きいといえるでしょう。

具体的には、年率1.3~3.1%が日本政策金融公庫における基準です(2024年11月1日現在・担保を提供する場合)。ただし、最終的な金利は担保の有無などの条件や、審査結果によって変わります。

金利変動リスクを回避できる

日本政策金融公庫のローンは、固定金利となっています。つまり、返済期間が終わるまで金利が変わることはありません。

固定金利であれば、金利の変動によって返済額が増えるリスクを気にせずローンに申し込めるでしょう。変動金利を選択したい特別な理由がない限り、これはメリットです。

なお、民間の金融機関では、固定金利・変動金利のどちらでもローンを組めます。ただし、リスク回避のために固定金利を選ぶと、金利そのものが高くなるのが通常です。

優遇措置がある

日本政策金融公庫のローンへ申し込む際に併用可能な「創業支援貸付利率特例制度」は、金利優遇が受けられる制度です。事業を始めてから2期分の税務申告を終えていない場合に利用できます。
また、民間の金融機関で審査を通過しにくい人を支援するための「新規開業資金」も利用可能です。事業開始後おおむね7年以内の女性・若者(35歳未満)・シニア(55歳以上)に該当する場合は、申し込みを検討してみましょう。同制度の適用を受けると金利が優遇され、融資限度額も7,200万円まで拡大される可能性があります(「一般貸付」は4,800万円まで)。

日本政策金融公庫でアパートローンを組むデメリット

アパート経営のために日本政策金融公庫でローンを組む際には、気を付けたほうが良いこともあります。民間の金融機関によるアパートローンと比べると、以下の点がデメリットです。

  • 返済期間が短い
  • 審査に時間がかかる

それぞれ、詳しく説明します。

返済期間が短い

日本政策金融公庫のローンは、返済期間が最長20年となっています。これは、民間の金融機関でアパートローンを組む場合よりも少ない年数です。

実際の返済期間は審査によって決まるため、最終的には、10~20年の範囲になると考えるのが無難でしょう。

返済期間が短くなれば、利子も含めた返済総額は減る反面、月々の返済の負担は大きくなります。アパート経営を続けながら滞りなく返済を終えるには、ある程度の利回りを期待できる物件が必要です。

審査に時間がかかる

前述したとおり、日本政策金融公庫のローンはアパート経営に特化したものではありません。さまざまな事業の資金に充てられる「一般貸付」をアパート経営に利用するため、具体的な融資条件を個別に決めていく必要があります。

その分、民間の金融機関が提供するアパートローンに比べて、審査が長引く傾向が見られます。アパート経営の開始時期などに支障を出さないためにも、相談や申し込みは早めに行いましょう。

日本政策金融公庫でアパートローンを組む条件

日本政策金融公庫でアパートローンを組む条件

日本政策金融公庫のローンは、どのような事業にでも利用できるわけではありません。ここでは、アパート経営者が日本政策金融公庫でローンを組むための条件を説明します。

不動産投資が目的ではないこと

日本政策金融公庫が主に支援しているのは、投資ではなく事業です。そのため、「売却益を狙う」という意味での不動産投資は、支援の対象とはなりません。

アパート経営者が融資を受ける条件の一つは、不動産賃貸業としての事業計画であることです。つまり、アパートを経営して家賃収入を得ることが目的であれば、日本政策金融公庫のローンに申し込めます。

なかには、「家賃収入を得ることが目的とはいえ、いずれは売却するかもしれない」と考えている人もいるでしょう。その場合でも、最初から売却を視野に入れた事業計画とすると、投資目的と判断されてしまうケースがあるため注意が必要です。

物件を担保として提供すること

日本政策金融公庫の「一般貸付」は、担保や保証人を必須としていません。担保・保証人の有無は、申し込んだ人の希望を聞いたうえで、相談して決めるとされています。

しかし、アパート経営を目的として融資を受ける際には担保が必要です。特別な理由がない限り、経営対象となるアパートの土地・建物を担保として提供することが、日本政策金融公庫でローンを組むための条件だと考えましょう。

不動産投資は地域の不動産会社に相談するのがおすすめ

日本政策金融公庫のローンには、メリットとデメリットの両面があることを説明しました。民間の金融機関でアパートローンを組む場合と比べて、必ずしもすべてのアパート経営者にとって有利だとはいえません。
アパート経営は、物件の所在地に十分なニーズがあれば、高い利回りも期待できる事業です。その一方で、初期投資が比較的大きく、空室が増えすぎると赤字経営に陥るリスクもあります。
どこから、どのような条件で融資を受けるかは、しっかりと事業計画を立てたうえで決める必要があるでしょう。そのためには、地域の市場に詳しい不動産会社に相談して、具体的な話を聞きながら検討するのがおすすめです。

まとめ

アパート経営の資金は、民間の金融機関が提供するアパートローンだけではなく、日本政策金融公庫でローンを組む方法でも確保できます。金利面のメリットや、民間の金融機関でローンを組むのが難しい人に適用される優遇措置などが、日本政策金融公庫の特徴です。
一方、返済期間の長さや、審査のスムーズさの面では民間の金融機関のほうが有利かもしれません。また、融資を受けるには投資を主目的とせず、さらに物件を担保とすることが条件となります。

日本政策金融公庫に申し込むかどうかは、地域をよく知る不動産会社に相談して決めるのがおすすめです。その際は、ぜひ一誠商事をご活用ください。茨城県南・県央から東京までのエリアを中心とする地域密着の不動産会社として、アパート経営はもちろん、不動産のさまざまな運用をサポートしています。

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記事の監修者:一誠商事編集部

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