一人っ子の場合、実家を相続するのは基本的に自分となります。そして、実家の処分についても自身で判断しなくてはならなくなる可能性が高いでしょう。
相続した実家を売却したほうがいいかは、状況によって異なります。この記事では、一人っ子で実家を売却したほうがいいケースやその際の注意点、売却を成功させるコツについて解説します。
一人っ子で相続する実家がある方は、ぜひ参考にしてください。
目次
一人っ子で実家を売却したほうがいいケース
一人っ子が相続した・あるいは相続する予定のある実家について、実家を売却したほうがいいと考えられるのは、次のようなケースにあてはまる場合です。
実家に住む・活用する予定がない
実家に住む計画も、賃貸をはじめとする土地活用の予定もない場合には、売却を検討したほうがいいでしょう。賃貸以外にも、土地活用の方法はさまざまにあります。とりわけ、ある程度の広さと需要が見込める立地であれば、駐車場にする、アパート経営をする、店舗を建築して事業に賃貸するなどが考えられます。
しかし、いずれの可能性もない時は、計画的に売却を進めていくのが堅実でしょう。なぜなら、空き家状態で実家を放置すると、家の劣化や庭の荒れ具合によって資産価値が大きく下がる恐れがあるためです。早めに売却することで、資産価値の減少を抑えられます。
実家が遠く管理できない
家は住まなくても、定期的なメンテナンスが必要です。目安としては、月に一度は訪れて、換気や通水、清掃を行うのが望ましいでしょう。庭付き戸建てでは、雑草の手入れも庭木の剪定なども必要になります。
人の出入りがない家は、劣化が早まると言われます。荒れ具合によっては、近隣住民とのトラブルにもなりかねません。しかし、実家が遠方にある場合頻繁には帰るのは難しく、一人っ子では、「近くに住む兄弟姉妹に管理を頼む」といった方法も取れません。
思い切って売却することで、管理の手間や建物の劣化、近隣からのクレームの問題など、心理的な負担感から解放されます。
維持費の負担が大きい
家は住まずに持っているだけでも、さまざまな税金や諸費用が継続的に発生します。具体的には、固定資産税や都市計画税、火災・地震などの損害保険、水道光熱費、定期的な修繕費用などです。
遠方に住んでいる場合には実家までの交通費もかさみます。一人っ子の場合は、親がいなくなったあとには、基本的にこれらを自分ひとりで負担しなくてはなりません。
売却することで、実家の維持管理費も不要となります。
今後値上がりする見込みがない
一般的に、建物は築年数が経過すればするほど、価値が下がる傾向にあります。土地については、市街地や今後発展が見込まれるエリアを除き、時価があとから値上がりする可能性は低いと考えられます。
今後値上がりする見込みがないなら、実家を活用しないと判断した段階で、価値が落ちないうちに早めに売却するのが賢明かもしれません。
実家が空き家になっているなら早めの対応が肝心
実家が空き家状態になっている場合には、以下に示す理由から早めの対応が重要になってきます。
空き家売却の特例が使えるのは相続から3年以内
不動産の売却には税制上の特例があり、相続した空き家を売却する際にも一定の要件を満たせば、「譲渡所得の金額から最高3000万円までを控除できる」特例が受けられます。
要件の一つが、「相続から3年以内の売却」です。具体的には、「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」と期限が定められています。
引用:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
上記を過ぎると、売却時に利益が出た際には税負担が増えますので、特例を使いたい場合は期限までに対応しましょう。
なお、上記の特例は、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる「相続税の取得費加算の特例」との併用はできない点にも注意が必要です。
特定空き家に指定されるリスク
実家を空き家のまま放置することで、「特定空き家」に指定されるリスクも否定できません。特定空き家とは、単なる空き家とは異なり、近隣に影響をおよぼし早急な処理が必要な空き家を指します。具体的には以下のような空き家が該当します。
- 倒壊の恐れがある
- 適切な管理がなされておらず、著しく景観を損なっている
- 衛生上有害である、など
いきなり「特定空き家」に指定されるわけではありません。改善要請が段階的になされます。空き家の持ち主に対しては、行政からまず助言や指導が行われ、それでもなお放置し、勧告の段階までに改善しないと特定空き家に指定されるという流れです。
特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税が軽減される特例を受けられなくなり、50万円以下の罰金などのペナルティーが科されます。
実家の売却方法は主に2種類
実家の売却方法は、主に「仲介」と「買取」の2パターンに分かれます。それぞれの特徴と適したケースについて解説します。
仲介
不動産仲介業者に、買主を探してもらう方法です。好立地である・築年数が浅くそのまま住めるなど、需要の高い物件は仲介業者に依頼することで高く売却できる可能性があります。
買取
不動産買取業者に直接買い取ってもらう方法です。買取業者は買い取った物件をリフォームして再販などを行います。仲介と比べて売却価格は安くなりますが、立地が悪い・大規模な修繕をしないと住めないといった物件では買主が見つかりにくいため、買取業者への依頼を検討するほうがスムーズです。
一人っ子が実家を相続・売却する際の注意点
不動産の売却では大きなお金が動くことが多く、さまざまな手続きも発生します。ここでは、一人っ子が不動産を処分するケースならではの注意点について解説します。
相続税の基礎控除が少ない
相続税の算出にあたっては、相続人の人数に応じた基礎控除がなされます。「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の式で控除される額が決まるため、相続人が多いほうが税制上は有利だといえるでしょう。
両親が亡くなっていて、相続人が子ども1人のみの場合、基礎控除額は「3,000万円+600万円=3,600万円」となります。姉と弟がいて相続人が3人のケースと比べると、控除額には1,200万円もの差があるのです。
周りに相談できる人がいない
実家を今後どうするかについて、兄弟姉妹がいる人なら相談しながら進められます。しかし、一人っ子の場合は周りに相談できる相手がおらず、一人で抱え込んで不安になってしまうケースも少なくないでしょう。
売却を検討しているなら、不動産に詳しい税理士や不動産会社など、信頼できる専門家を見つけておくと安心です。
実家をスムーズに売却するためのポイント
最後に、実家を売却するためのポイントをお伝えします。さまざまなポイントのなかから、特に重要な2点に絞って解説します。
相続登記をして名義変更しておく
相続後に実家を売却する場合、相続登記をして名義を変更しておかないと手続きを進められません。相続登記にかかる手続き期間の目安は1~2ヵ月です。まずは相続登記を済ませてから、実家の荷物の処分などに着手するほうが効率的だといえるでしょう。
実家の名義人である親の同意が得られれば、生前のうちに売却することも可能です。親の健康状態やそれにともなう判断能力の低下レベルなども考慮に入れながら、適宜判断することをおすすめします。
家の名義変更について詳しくは、以下の記事も併せて参考にしてください。
亡くなった親名義の家|名義変更の必要性や費用、必要書類について解説
家の名義変更は自分でできる?注意点やケースごとの手続き期限
査定は複数社に依頼する
売却を決めたら、実家を査定してもらう流れになりますが、不動産会社によって査定額に数百万の差があることもあります。安すぎても問題ですが、あまりにも高額すぎる査定を出してくる不動産会社も避けたほうが無難でしょう。
なぜなら、査定額は絶対にその金額で売れると決まった価格ではなく、媒介契約を結んだあとで「売る金額を下げよう」と言われてしまう恐れもあるからです。
1社の査定だけで決めてしまうのではなく、信頼性の高い3~5社を目安に査定結果を比較しましょう。地域の価格相場がつかめ、適正かつ有利な価格での売却を検討できます。結果的に、納得できる売却を実現できる可能性も高まります。
まとめ
一人っ子の場合、基礎控除額が少ないことで相続税の負担が増える、気軽に相談できる兄弟姉妹がいないといった理由で、実家の処分が通常より大変になる可能性があります。
特例についても期限が定められていますので、今後住む・活用する予定のない実家がある場合には、売却などの処分方法について早めに検討していくことをおすすめします。
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記事の監修者:一誠商事編集部
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