※2021年2月現在
ねえねえ。私のお友達のお姉さん夫婦が、今のおうちを売りたいんだって。「売るときにどんな税金がかかるのかなあ」って言ってたよ。何種類ぐらい払うことになるのかな。
おお、税金のことを考えるとはなかなかしっかり者のお姉さんじゃの。税金は意外に大きな出費になることがあるから、事前に予定しておきたいぞ。 不動産の売却に伴って支払う税金は、次のようなものじゃ。
1)売却時の譲渡所得税(所得税、復興特別所得税、住民税)
2)印紙税(売買契約書に貼る)
3)消費税(仲介手数料などにかかる)
4)登録免許税(抵当権抹消の際に必要)
え、こんなにあるんだ。
そうじゃ。このうち一番金額が高くなるのは、1)の譲渡所得税じゃ。ただし、売却して利益が出なければ払う必要はないぞ。
利益が出る? どんなとき?
簡単にいえば、買ったときより高く売れたら、税金を払うことになるんじゃ。譲渡所得税が発生するかどうかは、次の計算式でわかるぞ。
譲渡所得= 不動産の売却価格 -(取得費用+譲渡費用)
「取得費用」とは、その住まいを購入するのにかかった費用じゃ。購入金額や仲介手数料、その後のリフォーム費用なども含まれるぞ。また、建物が古くなると価値が下がるので、取得費用から「減価償却費」を差し引くことができる。「減価償却費」は、木造か鉄筋などの構造によって償却率が違うんじゃ。計算式は省くが、築年が経過した住まいを売るなら償却分は多くなる。ここで、取得費用がわからない場合は、売った価格の5%を取得費(概算取得費)とすることができるぞ。
また「譲渡費用」は、売る際にかかった費用で、仲介手数料や取り壊し費用、登記費用、印紙税、測量費用などが含まれるぞ。
じゃあ、3,000万円で買ったマンションを4,000万円で売ったときに、かかった費用を差し引いても利益が出たら、税金を払うってことだね。いくら払うの?
一概にはいえんぞ。5年以下か、5年超所有していたかによって、税率が変わる。5年超のほうが税率は低い。
ただ、税金の負担を減らす特例が利用できることもあるぞ。
どんな特例?
たとえば、譲渡所得のうち、3,000万円までを差し引くことができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」という制度がある。これが使えるなら、3,000万円までの利益に譲渡所得税が発生しなくなるぞ。所有期間に関係なく適用され、さらに、所有期間が10年超だと税率が低くなる制度と同時に使えるんじゃ。
うわあ。それは助かるね!
多くの人は、住まいを売って利益が出たとしても、この「3,000万円特別控除」で税金を払わなくてよいようになることが少なくないぞ。ただし、細かな条件を満たす必要があるから、一誠商事に相談してほしい。
うん。聞いてみたいね。
それと、売ったあとに、新しい家を買う場合は、「特定居住用財産の買換えの特例」というのが利用できることもあるぞ。これは、非課税になるわけではなく、税金を次に買換えをするときまで繰り延べされるという制度じゃ。次の買換えでは、繰り延べ分を含めて課税されるんじゃよ。これも一定の条件がある。
住まいを買換えるとき、「3,000万円の特別控除」と「買換えの特例」は、同時に利用できない。どちらがよいかは、その人の状況による。それに、相続や空き家の場合は、また特例がある。詳しいことは一誠商事に聞いてみてほしいぞ。
税金は利益が出なかったら払わなくていいんだよね。その場合はどうなるの?
おお。それは伝えておきたいことじゃ。5年以上所有していた住まいを、買ったときよりも安く売らざるを得なくなったときには、「譲渡損失の繰越控除の特例」という制度が利用できるぞ。
たとえば、給与などからは所得税や住民税が差し引かれておるじゃろ。マイナスになった金額を一定の限度で、その年の他の所得から差し引けるというものじゃ。場合によっては、その年の所得税や住民税がゼロになることがあるぞ。引ききれなかった金額については翌年以降、3年間繰り越しができる。
これも、条件などは一誠商事に相談じゃな。
いいね! じゃあ、2)の「印紙税」は?
2)の「印紙税」は、住まいを売買する際には、売買契約書を作成するじゃろ。その契約書に貼る「収入印紙」の費用じゃ。2022年3月31日までに作成される不動産の売買の契約書で、契約金額が10万円を超える場合は、軽減税率が適用されるぞ。
契約書の金額によって、税率が異なり、軽減税率は次のようになる(一部省略)。
記載された契約金額 | 通常の税額 | 軽減された税額 |
---|---|---|
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
…う~んと、一般的な住宅を売るとしたら、印紙税は1万円~3万円程度かかるってことだね。
そうじゃな。契約書は、売主と買主のために2通作成するから、それぞれが払うことになるのが一般的じゃ。
じゃあ、3)の「消費税」と4)の「登録免許税」は?
3)の「消費税」についてみてみよう。たとえば、3,000万円で売却したら、仲介手数料は96万円。それに消費税が 9万6,000円かかる。このほかに登記を変更するときに、司法書士などに手数料を払う際(数万円程度)には、それにも消費税がかかるな。
4)の「登録免許税」は、抵当権を抹消するときに必要となるもので、土地と建物それぞれに1,000円かかるぞ。
登録免許税については前回も話しているから、復習しておくと良いぞ。
こまごまとかかるね。
「3,000万円控除」を利用できる場合が多いため、実際に譲渡所得を払う人はそれほど多くはなさそうじゃ。じゃが、いろいろな税金が積みあがることがあることは考えておきたいぞ。
ところで、住まいを売った年の翌年2月16日から3月15日までには、必ず確定申告が必要じゃよ。書類を準備する必要があるから、早めに対応したい。
うん!ハカセ、今回もありがとう!
今回のポイント
- その1 売って利益が出たら譲渡所得税がかかることがある!
- その2 「3,000万円特別控除」で税金を払わなくてよい場合も!
- その3 印紙税や消費税、登録免許税もある!
記事の監修者:一誠商事編集部
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